オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

『精霊の守り人』09.「渇きのシュガ」

 計略により追っ手をまいたバルサ達は、平穏な日々を過ごしていく。
 村の子供達と、多少ぎこちなくも友達になっていくチャグムの子供らしさが嬉しい。

 物語としては、「停滞気味」と言って良い部分。
ここ数話、追っ手達はバルサ・チャグムの死を確信し、疑おうともしていないので、「ジワジワ狭められていく捜査網」とか「間一髪の所を逃れ続けるサスペンス」等という、一般的エンターテイメント作品を引っ張っていく要素は、薄い。
バルサやチャグムに悪意(捕獲への執念)を持つ人間さえ、目立った場所には居ないのだから。
 監督の力量として、そのぐらいの事が出来ないとは思えないので、これは「故意に」スピード感のある展開を避けているものかと。

 代わって、腰を据えて描かれるのは、異世界の姿と、そこに生きる人々の有り様。
 「刀鍛冶に、槍を直してくれるよう頼む」これだけで一話使い、飽きさせない構成は凄い。
それに重ねて、「バルサと育ての親の関係」を彫り込み(回想シーン無しで長い昔話をもたせてしまう画面のパワー)、何故彼女が命の危険を冒してまでチャグムを引き受けたのか、その心理に説得力を与えている。

 市井の人々の生活を見、自分の存在がどれだけバルサに取ってマイナスなのかを理解し、出来る訳がないのは本人が一番心得ているだろう「一人で生きていく」宣言をする、チャグムの「男の子」から「漢」まで到る心根が胸を打つ。
そんな心配は要らないと言われ、不安が一気に和らいで、わあわあ泣き出し「年齢相応の男の子」へと戻る様も、健気で愛しい。
 護ってあげるに値する、チャグムの価値。

 弟の死を割り切ったように見える兄皇子の、意外に策士な優しい本心には、驚かされる。
 チャグムの運命に何も出来なかった己の無力感を振り切り、負わされた役割を果たそうとするシュガも良いキャラ。
 追っ手部隊隊長の人間的練度、格好良さには、惚れる。

 普通なら飽きさせてしまうだろう、強い刺激のない展開を面白く見せられているのは、恐ろしく徹底した画面へのコダワリもある。
 宮殿内、庭を歩くシュガの後を、少し遅れ、後ろ向きになった男が、板を持ち地面を均しながら続く。
恐らくは、美しく整えた玉砂利に足跡の乱れを残さないための、「均し係」なのだろう。
それは、民とケタ違いの王の豊かさを表すものであり、乱れを許さない(許してはならない)宮中の佇まいをも感じさせている。
 ふとすれば見逃してしまいそうな一瞬の演出に見て取れる、スタッフにより確かに把握された世界の手触り。
 その積み重ねが、「どうせ嘘だし他人事」の世界に、リアリティーを与えていく。

 ハラハラさせられるスピード感は「今は」無いが、画面の隅々にまで情熱を込めて作り上げているアニメならではの「充実感」は、圧倒的。
 面白い。
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『ウェルベールの物語』08.「告白の章」

 お姫様が、新婚初夜に花婿である大国の王子を刺してしまった真相が、明らかに。
 以前に姫の口からも語られてはいたけれど…
王子警護の兄ちゃん・ガラハドが知る王子像とはかけ離れている、という事で、「王子が刺された」切っ掛けで戦争を始めるための偽物、しかも(顔立ちが似ていたからか)快楽殺人者を替え玉に仕立て上げた、って事なのかと思っていた。
 本当に、王子がロクデナシだったとは。
 しかし、ガラハドが知る王子と違うのは、まだ何か隠された真相があるのか、単にガラハドに人を見る目がなかったという事なのか。

 大事な訴状が盗まれてしまう所から始まるドタバタ話も楽しく、それなりには面白くできていると思うんだけど、没入度が低くなってしまうのは、「一触即発の関係にある両国の緊張感」や「追われるサスペンス」「先を急がなければならない切迫感」なんかが薄すぎるからなのかな。
 ライトなファンタジーとして、弛緩してぼんやり見る分には、悪くないのだが。
 ここいらで大きな展開を設けないと、「見終わって特に印象に残る部分が無い作品」になってしまう恐れは、ある。
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