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映画『アイ・アム・レジェンド』

 映画『アイ・アム・レジェンド』を見る。
 監督は『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス。
主演、ウィル・スミス。

 廃墟と化したニューヨークのビジュアルがとにかく素晴らしく、「誰も居なくなった街でサバイバル生活をやってみたい」願望のある人間には、堪えられない。
 サバイバル、ったって、食べられる植物を知ってるとかケガした時の対処法を学んでいるとか、そういう高度な技術を求められる状況は面倒で、DVDぐらい見たいから電気は来ていて欲しいし、レトルトやら缶詰で食料にも苦労しない環境が望ましい。
理想としては『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の世界。

 そういう甘えたサバイバル野郎に、この映画は割合と優しい。
 これで主人公が危険と対面しなければ、「ぬるい夢」を描く作品として完璧なんだけど、それじゃ物語になり辛いのか。

 主人公が色々と迂闊。
周到なところを持ちつつも、「何でそんなミスを」と思わせられる部分も多くて。
こういう映画の お約束ではあるけれど。
 「敵」について、余り詳細に語られず、不明点が。
まあ、ゾンビ映画でも、ゾンビの発生理由や生態を明らかにしないタイプの作品があるからなあ。

 「敵」を、異質ながらも新たな秩序を持って生きていく新人類だと考えると、一人だけになった主人公(旧人類)が彼らにご無体な行いをするのは、正しいこととばかり考えられなくなってくる。
この辺りをテーマにしては、藤子・F・不二雄先生の短編『流血鬼』が素晴らしい。
 映画でも、少しはここいらを彫り込むかと思ったが…ほとんど触れられず。
かといって敵を相手に手に汗握るバトルアクションが繰り広げられる、という程でもなく、主人公の相棒の運命が最も盛り上がった箇所で、その後は物語に特に工夫なく、エンディングも物足りない。

 圧倒的に説得力がある大都市廃墟の風景。
主に、これを楽しむための映画だ、と割り切るのが吉。
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『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』03.「分隊」04.「死の谷」

 キリコが所属する隊は、重要な任務を任せられる。
 …しかし、大部隊の命運を握るミッションだというのに、あんな僅かな人数で時間内に確実にこなしてこい、というのも無茶な話。
もうちょっと増員して良いと思うが。
 まあ、『ボトムズ』の世界観はこういう、厳しすぎる(非効率的な?)ぐらいのものだし、あんなにも戦力が隠れているとは予測していなかったみたいだから、仕方ないか。

 無能な隊員を一人加えることで、危機の設け方が非常に分かり易くなっている。
 このシリーズに、「嫌な奴」は出ているが、軍人としてこんなにも「無能」「疫病神」なキャラクターは初めて。
いや、関わった人間を不幸に巻き込みがち、という意味で、キリコも相当な疫病神だけど。
 『ボトムズ』世界で、ここまでダメダメな男が出てくると、つい裏に隠された「意外な真相」を予想・期待してしまう。

 3Dを駆使したATバトルに作る方も見る方も慣れてきたようで、前巻よりも違和感なく見られる。
 天井越しに、上に居たATを撃ち抜くなど、キリコの超絶戦士ぶりが多く描かれていたのは、嬉しい限り。

 一巻目で作品の行く末を不安視していたが、この二話はファンの期待に応えられる、出来の良い内容だったと思う。
 このまま、先に進むほど面白くなってくれるといいなあ。

『げんしけん2』最終12話.「その先にあるもの…」

 前回あった、同人即売会場での笹原の「漫画家になれないのは、『漫画家になるにはどうしたらいいですか?』って他人に尋ねるタイプ」というセリフが、なかなかに正鵠を得ていて、深い。
 同様に、「売れないのは、『売れる漫画家になるにはどうしたらいいんでしょう?』って他人に尋ね回るタイプ」という事も言えると思うけど、それをやってるのは自分。

 「漫画描く」のと「漫画描く人になる」のと「漫画描いて生活する人になる」のじゃ、全部、全然違うから…というセリフも実感的。
 笹原、なかなか上手いことを言うし、作家に対し「プレッシャーを与える」でも「おだてて良い気分にさせる」でもなく、しかし「描き続ける動機付け」は しっかりして上げられる、という意味で、漫画編集に非常に向いているのかも知れない。

 ただ、そういうバランスが取れた、「編集者が一番してはいけないことは?」と聞かれ「作家のやる気を無くさせること」と応えるような常識的な・フツーの・特色が無い編集さんには、現実として余り会った事がなかったり。
 笹原が夢で見ていた、持ち込みの原稿を見て「これが本当に君の描きたい物なの~?」等と問い掛けるばかりで、作家に取り特にプラスにならないタイプの編集者は、メジャー誌で見た事があるけども。
 編集さんの事を どうこう言うのは、物凄く危険な気が今したため(遅い)、以下自粛。

 内定が出た嬉しい報告を、誰よりもまず荻上にする笹原。
その電話報告が、自分に対してだけであった事を知り、喜ぶが、嬉しい表情を周りに読み取られまいと懸命に噛み殺す荻上。
 今時の大学生とは思えない初々しさが、微笑ましい。
 この二人の未来をもっと見てみたい気がするけど、終わりなのか。

 「オタクな連中の青春」を描く物語として、あるいは可笑しく、あるいは身に詰まされて切なく感じる、面白い作品だった。
 まだ色々語れるけど、どうも話の内容が作品についてより、「わしの若い頃はのぅ」といった年寄りの退屈な昔話方向に傾きがちなので、ここまで。

映画『ウルトラヴァイオレット』

 WOWOWで放送された映画『ウルトラヴァイオレット』を見る。
 監督は、『リベリオン』で鮮烈な…格好良さと馬鹿馬鹿しさが同居する、『マトリックス』を更に進めたような…アクションを見せてくれた、カート・ウィマー。
 主演・ミラ・ジョヴォヴィッチ。

 ミラ演じるヒロインが、髪型から顔立ち、全体の雰囲気、挙動の有り様まで、『攻殻機動隊』草薙素子を実写化したようなイメージがあり、美しい。
自身の悲劇を動機とし、弱い者を守り戦うキャラクター付けは、パターンながら見易くて結構。

 『リベリオン』から馬鹿馬鹿しさの度合いをグッと引き上げたような、何でもアリのアクションシーン。
ヒロインが強すぎて、手に汗握る、という部分はまるで無いけど、派手なので、それはそれなりに楽しめる。
 全編に使われたCGが安っぽいのは、残念。
この出来がもっと良ければ、画面的な説得力はずっと増したはず。

 問題なのは物語で、説明不足なため よく分からない。
多分、もっとくどくどと説明を入れたところで「よくあるストーリー」にしかならないだろうから、その時間をアクションに費やす判断は正しいのだろうが。

 キャラクターにも設定にも物語にも入り込むことは出来ず、見ている間「他の誰かが操作している格闘ゲームを眺めている」ような気分に。
 ストーリーなど気にせず、ながら見して、アクションの所だけ画面を注視するのが正しい鑑賞法…だろう。

『スケッチブック ~full color's~』最終13話.「ひとりぼっちの美術部」

 最終回だからといって特別に構えない、穏やかな終幕。
 「賑やかで大きなイベントを用意する」のと逆で、ヒロインが美術室に一人きり(後半、もう一人加わるけど)で過ごす、普段よりも更に地味な形で終わっていくのが、実にこの作品らしい。

 ただ、その中に、居心地の良い空間にも やがて訪れる終焉の予感を描き、「代わり映えのしない日常」がもたらしてくれる価値を浮かび上がらせている。
 仄かな変化を示す空、は、確かに成長であろうけれど、果てなく続いていくかに思える心安らぐ毎日の繰り返し、から踏み出す(出てしまう)一歩でもある。
 嬉しくあり、寂しくもあり。

 「要するに、高校生活版『ARIA』でしょ?」などと失礼なことを考えていたが、まるで違い、見続けていく内 味を増す、クセのあるキャラクター達の魅力も相まって、最後まで楽しませてくれた。
 で、この枠の後番組は『ARIA』なのか…
いっそ、『スケッチブック』とリレー交代で、「ブレイド・ヒーリングタイム」として、ずっと枠を占めていけば。

『CLANNAD』12.「かくされた世界」

 眠ったまま悲劇的な運命を辿ると思われた風子が、元気で、何気なく出て来たのに、驚く。
 主人公らの記憶は戻っていないが、彼女の方は事態を正確に理解し、未来の予想までしてみせる。
 風子の担当パートは終わり、もう物語に関わってくることはない…と思っていたけど、意外とまだまだ、重要な役割を果たすのかな。
ことみ親の研究内容として語られた、多元宇宙論が関係している?

レンタルで映画『スターレック 皇帝の侵略』を見る

いやいや、『スター・トレック』でなく、『スターレック』。
惜しい、一文字足りない。
 フィンランドのトレッキーが撮った映画だという事で、元々はパロディーとして そのまんまの宇宙船が出ていたが、さすがにマズいとオリジナルデザイン(痕跡は強く残っている)に置き換え商品化したもの…らしい。

 CG部分には過度に力が入っており、多数の戦艦が入り乱れる宇宙戦闘シーンは、オリジナルシリーズでも無いレベルに達していて、見応えがある。
 しかし…CGの頑張り具合と、「さっき思い付いた」程度のモノとしか思えないグダグダ・ダラダラしたストーリーの落差は、凄い。
 時間を掛け、宇宙戦闘を作り込んでいる間に、どうして誰か気が付いて「昨夜三十分で書いた推敲もしていないシナリオに、このCG作業時間の百分の一でも時間を費やし、書き直すべきではないか」と言わなかったのかなあ。
 真面目な内容にする必要はなく、パロディーで良いんだけど、それにしたってネタが薄く、「ファンをにやりとさせる」部分も少ない。
登場キャラを全員「バカ」にしたらそれだけでギャグになる、と考えているようで、どうにも。

 「バビロン5」司令官がアホほど演説好き、というのと、ロシア(と手を組んだ主人公の軍勢)が地球を支配してしまう、米映画ではなかなか見られない展開は面白かった。
 とても良く出来た日本製の予告編(DVD収録)だけ見れば、本編に付き合う必要はない映画。
いや、短いようで長い人生、こういうダメ映画を最後まで鑑賞して時間を浪費してみるのも、また一興か。

『祝25周年!あのマクロスが帰ってくるぞSP !!』

 宮迫は、割とアニメが好きな(好きだった)芸能人なんだろうと思うが、この内容なら別に出演させる意味が無い。
ド深夜に放送していたこともあり、「『マクロス』に興味を持たない人が見る」可能性は極少ないだろうし、もっと絞り込んでオタク向け特番にしても良かったんじゃなかろうか。
 いや、今更、どうでも良いけども。

 番組内で紹介されていたが、『マクロス』は確かに、色々とエポックメイキングな作品だった。
 変形するメカはあっても、現用兵器に近い、実際に飛べそうな形状をした戦闘機が、滑らかにロボットへと変わるモノは無く、バルキリーの登場は当時かなりの衝撃。
『トランスフォーマー』直接のルーツは、この作品になる?
 「異星人の残した戦艦で戦う」「それが凄まじく巨大であり、内部に街を飲み込んでいる」「歌を戦いに使うアイディア」「恋愛をSFロボットアニメの中心に置く思い切り」…独自の魅力は、数え上げればキリがなく。
 殺し・殺される事になる軍入隊を嫌がる輝に対し、「どうして?戦うべきよ」と事も無げに言い放つヒロイン・ミンメイの性格付けも、「戦争がリアルではない世代(統合戦争があったマクロス世界の、ではなく、視聴者の世代)」の描き方として、「リアル」だったと思う。
 テレビシリーズは、作画の荒れ方も酷かったし、完璧な出来の作品だったとも言い難いが、その未完成さがまた、若さと同時代性を感じさせてくれたもの。

 特番内で放送された『マクロスフロンティア』第一話目?を見る。
 作画的なクオリティーが高く、懐かしい世界観に沿った細かな描写は嬉しい。
総監督の、思想的な病気さえ現れてこなければ、最後まで見続けさせるだけの吸引力を持つ作品になるだろう。

 3Dを駆使した戦闘画面は、凄いんだろうけど、特に宇宙での戦いが見づらく、誰が何をしてどうなったのか分からない部分も多々。
 手描きアニメの時代は、絵を描き込み、画面スピードを上げることで情報量を増やし、実写に近付けようとするアプローチが成されていたように思うが、CGでは、画面的に実写と そう変わらないぐらいの情報を込められるため、見せる物を「削る」「絞り込む」作業こそが重要になる。
 単に対象物を高速で動かせ、カメラを振り回して撮っただけのアクションシーンは、実写でも余り良い評価は得られない。
 「板野サーカス」は、単に力任せに動きまくる演出、では無いんだけどな。

映画『どろろ』

 WOWOWで放送された映画『どろろ』を見る。
 手塚治虫先生の名作を、実写映画化したもの。

 うう~ん、可もなく不可もなく。
 良くない点としては…
 どろろが子供でなく、割といい歳の見た目ハッキリ女性だと分かるキャラ(柴咲コウ)に変更されているのは、まあ構わないとしても、それをシナリオとして消化し切れていない。
「捨てられた子供の気持ち」を代弁して啖呵を切る所など、胸にズシリと来るシーンになるはずだったのだろうが、もう「捨てられる」より「捨てる」ぐらいの年齢になって何言ってんだよ、という気持ちにしかならず。

 ラスト近くのテンションの下がり方が、凄い。
 エンターテイメントなら、悪役を悪役のまま死なせてやった方が良かったかと。
誰もが悲しみを背負っている…とかいう方向の物語にするにも、積み重ねが薄く、「最後まで来て無理矢理良い話にしようとした」としか思えず。
 途中、イメージ・ダイジェストのように「様々な妖怪と戦ってきました」を見せるシーンが、気分的に一番盛り上がったぐらい。
 浪花節も嫌いじゃないけど、それならそういう方向でもっと突き抜けて、韓流ドラマぐらいに力業の泣かせを入れなければ弱い。

 特に破綻した部分はなく、最後まで真面目に撮ってあるとは思う。
そのため、「原作を破壊された怒り」を感じさせられる事はないが、「笑うほど酷いので一度見てみろ」と友人に勧めさせる動機も与えてくれない。
 テレビで放送されたら何となく見ても良いかな、という、それ以上でも以下でもない映画。

『ULTRASEVEN X』最終12話.「NEW WORLD」

 全ての謎が解かれる最終回。
 「いかにも作り物っぽい都市や人々の様子から、最初から宇宙人により、セブンの能力を計測し、盗むため仕組まれた罠なのでは」とか「既に存在しないセブンを、地球人が電脳空間に擬似的存在として生まれ変わらせたモノ」だとか陳腐な想像をしていたが、実際は、更に どうでも良い内容。
 謎解きを投げ出さずケリを付けたのを褒めるべきなんだろうけど…こんな真相なら、別段明かしてくれなくても構わなかったな。

 地球人自身を地球侵略のため金で雇って働かせる宇宙人のシニカル話や、弱々しくて他惑星と戦うようなパワーを持たない宇宙人が…という話など、各話完結のバラエティー性にこそ、見るべきモノがあるシリーズだった。
 オールドファンとしては最終話のゲストを否定できないが、この作品単体では、余計な要素だと思える。
 別段、オリジナル『セブン』の世界と繋げる必要はなく、今作の魅力だった独自のダークさを最後まで貫いてくれる方が嬉しかったなあ、マーキンド星人の雇い主に迫るとか。

 よく考えると、『X』地球への他星人からの侵略が終わった訳でなく、セブンの力を失った後、どうやって戦っていくつもりなのか…
正史のシリーズによく見られた、「地球は我々人類の手で守り抜くべきなのだ」という決意も弱いため、余計その後が不安になってしまう。
 まあ、普段から閉塞感に満ちた世界だったようだし、宇宙人の支配を受けたからって何が変わる訳でもないのかな。

 大きな期待を持って見始めたシリーズではないので、印象に残るストーリーやシーンが いくらかあっただけでも、拾いモノとして喜べる。
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飛龍 乱

Author:飛龍 乱
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ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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