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『ネオ・ウルトラQ』最終12話.「ホミニス・ディグニターティ」

 WOWOW放送のこのシリーズも、最終回。
 その終わり方は…意味不明気味。
 「寄生生物による人類社会への侵略」という古典的なお話でなく、「メリットのある寄生生物を受け入れるべく自らを合わせようとする人類社会」という非人間性を描いている?
寄生=(人間らしい権利の)規制というシャレであったり。

 体制側が高圧的でなく、今回登場の少女らも迫る危険を感じたり感情を爆発させることがないので、対立点は曖昧。
悪意や個人的欲望によらず、「善意」でさえあるものが社会や個人の権利を抑圧し、息苦しくしていく、という現代的恐怖を描いた?
 それならそれで、もうちょっとアプローチの方法がありそうな…
 主人公然としてシリーズに顔を出し続けていた南風原、彼も実は…として意外性を出そうとしたのは分かる。
しかし、それが物語としてそんなに大きな意味を持っておらず、「驚いたでしょ?」とコチラを伺う制作者に対し、視聴者は困惑顔を晒すのみ。

 シリーズ全てをほぼ一人の脚本家が担当し、それでも色々なタイプのストーリーを作り得たのは大したものだと思うけど、面白かった!と感じられたエピソー ドは少なく(「洗濯の日」「もっとも臭い島」「東京プロトコル」などコミカルなお話ぐらい)、数人で競作し得意なジャンルを分け合った方が全体の出来は良 くなった……かも知れない。
それは勿論「他にも仕事を受けてもらえる才能ある脚本家が居れば」の話だが。
 ストーリーのパターンなど出尽くし、ヒネったものまで陳腐化してしまっている現在、三十分一話完結で面白く見せられるアイディアを出すのは至難。
巨大怪獣を出して暴れさせれば取りあえず喜んでもらえた昔とは違う上、それをストレートにやりたくても予算的都合があるんだろう。
 ある程度のフォーマットがあり、それを崩す面白さも設定できて、変身しての戦いがあれば視聴者に酷い不満を残さないで済むウルトラマンやセブンらの路線(比較的満足感を残しやすい、という意味であり、だから簡単だと言っている訳ではない)と違い、『ウルトラQ』はホントに難しいなあ、と感じさせられた続編。
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『ノラゲキ!』

公式サイト

 テレビ放送されていたのを、何だか知らずに見る。
 『エウレカセブン』の佐藤 大が脚本を手掛けた、OVA作品。

 うーん…不条理で謎を孕む導入、老若男女五人のキャラクター、脱出までのプロセスと葛藤、そしてオチ、どれも頑張ろうとしている事は分かるんだけど…
短い時間内で色々やろうとしたばっかりに、どれも薄味になってしまい、ここが面白かった!を残せないアニメになってしまっている。
 編集者が付いていれば、まず「この作品で最も描きたい事は何?」と問われ、作者が答えた所で、厳しい他要素の削ぎ落としと再構成が行われるはず。
 密閉空間からの脱出を目指す多人数キャラクター達、という基本アイディアでは、個人的につい映画『CUBE』あるいは『ソウ/SAW』的なモノを勝手に期待してしまい、それには応える内容でなかったため満足度低め。

 独特のタッチを付けたCGキャラクターは低い品質じゃないし、時間が短い中にネタを詰め込んであるから退屈もしないが、酷く悪い作品でないことにより余計印象には薄くなってしまいそう。

『ヤマノススメ』最終12話.「そして、次の景色へ」

 短時間アニメの中でも、この作品だけは最後まで見続けられた。
 登山を好きになっていく全体構成と、ごく短い一話毎に上手く設定された「描きたい・伝えたいこと」、重ねられていくキャラクター描写…全話通しても三十分程度の作品時間だろうが、少々短めの通常シリーズアニメを見たような感触を残す事に成功。
 原作のペースでもあるのか、無理して大きな登山に挑まず、「閉じ気味だったあおいの心が開かれていく過程」を描き、登山をその「手段」とする割り切りも正しい。

 女の子達にはそれぞれ魅力があり、可愛い。
途中で加わる楓もここなも、好きだなあ。
 もうちょっと見たい!という気持ちにさせられたので、第二期を期待しつつ、出版社としては「単行本を読んでくれ!」って感じだろうか。

『ネオ・ウルトラQ』07.「鉄の貝」~

07.「鉄の貝」
 科学が明るい未来を開く、とは信じられなくなった現代のストーリー…なんだろうけど、論の根拠とする科学性が余りに薄く、バカなオッサンがバカな結論に飛びついているだけでハラハラもドキドキもしない。
 ガストロポッドに怪獣としての魅力が皆無なのも面白味に欠ける原因。
ならばそれを埋めるべく、科学者同士の対決をもう少し気合い入れて描かないと。
 最期を迎えるガストロポッドを前に、泣きじゃくる幼女に貰い涙。
「小さい子供が泣いている」という絵に無条件に弱くなってしまったのは、やっぱり歳か。

08.「思い出は惑星(ほし)を越えて」
 チベット、ダライ・ラマ辺りをイメージして作った話なんだろう。
 地球人青年を迎えに来た侍従武官のアクションやキャラクターはそこそこ描けていたけれど、青年の方は影が薄いため、「武官が任務を遂げられない話」に終わっており、何を受け取れば良いストーリーなのか戸惑う。
 甦る前世の記憶によるメリットとデメリット、地球に残る理由と星を越えねばならない気持ちの芽生え、武官と暗殺者が対立する理由付け…色々膨らませられる所はあったと思うのに。

09.「東京プロトコル」
 温室ガスの排出量に制限さえなくなれば、日本経済は再びバブルに突入する、といった無茶苦茶な理屈はともかく。
 怪異な事件・事象が世界に影響を与え、主人公の人生も変えていく、『ウルトラQ』の一断面として正しい話。
 加熱していく好景気、経済に目を奪われ穏やかさや冷静さを失っていく大人達。
 膨らんでいく怪獣プラーナは、そのままバブルの象徴なんだろう。
それが弾け、破滅の姿を現しても、なお「見ないフリ」で浮かれ続けようとする大人の狂いっぷり、困った目で見つめる子供達の対比が可笑しい。
 ラスト、一言でも気の効いたナレーションが入れば、更に作品印象は強くなっていただろう。

10.「ファルマガンとミチル」
 イイ話…系統の内容だったけど、怪獣ファルマガンが少女のために身を犠牲にまでしようとする理由付けが弱い、というかほとんど無く、少女が怪獣に向ける気持ちも描き切れていないため、うーん。
 少女自体は助けられた訳で、南風原が何を恐れていたのかも不明確(怪獣の体を案じていた?)。
 我が身を削って人々に施す「幸福の王子」怪獣版。
その基本は悪くないし、見終わってイヤな感じも無いが、もう少し絞り込み、感動の強化をして欲しかった。

11.「アルゴス・デモクラシー」
 人質を取った立て籠もり事件に、宇宙人の介入が……
 エフェクトを掛けた宇宙人の声が聞き取り辛く、途中で面倒になってしまう。
 立て籠もり犯人と、宇宙人の行動は上手く噛み合っていたのかなあ?
怪獣撲滅か保護か、犯人・人質らの命か総理大臣か…選べと言われても困るモノを並べた、という意味で通じ合ってる?
 何か描きたいテーマはあったのだろうが、伝わってこないし、単純にストーリーとして面白くない。
 「そう言われても困る」としか思えない視聴後感の話が、このシリーズにはやたら多いなあ。
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飛龍 乱

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ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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