映画『シン・ゴジラ』
映画『シン・ゴジラ』を見る。
総監督・庵野 秀明、監督・樋口 真嗣による、久々…12年ぶりの新作ゴジラ。
うーん…だった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、これは遠慮なく駄作の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』と、両氏の前作に疑問符が付いており、つまらなかったら文句言ってやろうと思っての鑑賞。
面白い。
これまでの「ゴジラ」とは大きく違っているため、評価の基準によっては厳しくなってしまうこともあろうが、子供だましでなく大人向けに、手を抜かず全力で、最後までしっかり作られている映画。
『エヴァンゲリオン』ヤシマ作戦の下りから、シンジ、レイ、エヴァまで抜いたような内容。
『巨神兵東京に現わる』ともイメージは重なるが、ストーリーの大筋はDAICON版『帰ってきたウルトラマン』によく似ている。
アリガチな恋愛や家族のドラマをほぼ完全にカットしてあるのが、大きな特徴。
既存のパターンで処理するなら、主人公・矢口に恋人など設定し、保育園や介護施設なんかで働く彼女の目線から「大学時代、夢を持っていたあなたが、出世し て変わってしまった」みたいなことを言わせ仲違いさせた後、ゴジラ襲撃で危機に陥った彼女を主人公が体を張って救う……とかいった分かり易い・古~いお話 が入っただろう。
関係ないが、ハリウッド2014版『GODZILLA』は、家族関係に時間を費やしながら、こんなドラマさえ描けてないのが不満。
「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」というのがコピー文句だけど、ゴジラと戦ってるのは「会議」かと思うぐらい会議シーンだらけ。
誕生の経緯から行動・無敵さ加減まで無茶苦茶に勝手な「虚構」ゴジラに対し、個人プレーで事態を解決せずあくまで集団が意見や知恵を出し合いつつもどかしく前進していく「現実」民主主義日本の戦いか。
しかし、こんなに優秀な政治家・官僚ばかりなら日本は安心。
総理大臣もダメダメに見えつつ苦悩は理解できるし、重い決断をしている。
そして、自衛隊大活躍。
架空の便利な対ゴジラ兵器がないため、在り物を総動員し、知恵と勇気と有能さで立ち向かっていく姿、格好いい!
あんまりスポットは当たらなかったけれど警察も消防も頑張っており、危機に際してそれぞれの立場でベストを尽くす、日本の底力を見せてくれるようで嬉しい。
米では、9.11以降、ビル崩壊の恐怖をスペクタクルシーンに用いることが多いけど、『シン・ゴジラ』は3.11以降を感じさせる。
初代ゴジラが「戦争」を表しているなら、今回は「人智を越えた災害」かな。
原発事故への対処を思わせるところもあったし。
現在を生きる者にとり、戦争はもう(幸いに)身近でもリアルでもない。
が、3.11以降(いや阪神大震災?もっと前から?)、大災害の恐怖と誰も他人事ではない損害の大きさ、復興の困難は、卑近な現実として感じられる。
被災する人間各個への目線が不足している、災害報道を見ているようなこの映画で、しっかり恐ろしさを実感できるのは日本人の共通認識となったこの経験のため、だろう。
この映画の特異な形式から来る問題、庵野総監督の個性がもたらすアク、都合の良さ、色々と言いたくなるマイナス面はありつつ、でも今日、作られる「ゴジラ」として、十分すぎる出来。
気になる人は是非、映画館で見て欲しい。
で、次回作妄想。
庵野 秀明は外れるのだろうから、樋口 真嗣だけで監督を?それはちょっと不安な……
今回のフォーマットを踏襲して、個人のドラマに寄らない人間集団VSゴジラを描くなら、「野党の反対による作戦停滞」「無能な政治家・官僚による失策」 なんか入ってくるかも知れないが、余程上手く料理しないと「こんなの無い方が良い、ウザい、庵野がそういう要素を入れず作った理由、分かった」と言われそ う。
そうでなく怪獣対決に移るなら、中国が収集したゴジラ細胞を培養・遺伝子操作して作った亜種怪獣チャイナ・ゴジラ、それと呼応するように日本海へ入るシン・ゴジラ、両者が尖閣諸島で激突「代理戦争、勝った怪獣の国の島になる」話とか。
あるいは韓国が作ったコリア・ゴジラと竹島で(以下略)不謹慎でしたすみませんでした。
総監督・庵野 秀明、監督・樋口 真嗣による、久々…12年ぶりの新作ゴジラ。
うーん…だった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、これは遠慮なく駄作の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』と、両氏の前作に疑問符が付いており、つまらなかったら文句言ってやろうと思っての鑑賞。
面白い。
これまでの「ゴジラ」とは大きく違っているため、評価の基準によっては厳しくなってしまうこともあろうが、子供だましでなく大人向けに、手を抜かず全力で、最後までしっかり作られている映画。
『エヴァンゲリオン』ヤシマ作戦の下りから、シンジ、レイ、エヴァまで抜いたような内容。
『巨神兵東京に現わる』ともイメージは重なるが、ストーリーの大筋はDAICON版『帰ってきたウルトラマン』によく似ている。
アリガチな恋愛や家族のドラマをほぼ完全にカットしてあるのが、大きな特徴。
既存のパターンで処理するなら、主人公・矢口に恋人など設定し、保育園や介護施設なんかで働く彼女の目線から「大学時代、夢を持っていたあなたが、出世し て変わってしまった」みたいなことを言わせ仲違いさせた後、ゴジラ襲撃で危機に陥った彼女を主人公が体を張って救う……とかいった分かり易い・古~いお話 が入っただろう。
関係ないが、ハリウッド2014版『GODZILLA』は、家族関係に時間を費やしながら、こんなドラマさえ描けてないのが不満。
「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」というのがコピー文句だけど、ゴジラと戦ってるのは「会議」かと思うぐらい会議シーンだらけ。
誕生の経緯から行動・無敵さ加減まで無茶苦茶に勝手な「虚構」ゴジラに対し、個人プレーで事態を解決せずあくまで集団が意見や知恵を出し合いつつもどかしく前進していく「現実」民主主義日本の戦いか。
しかし、こんなに優秀な政治家・官僚ばかりなら日本は安心。
総理大臣もダメダメに見えつつ苦悩は理解できるし、重い決断をしている。
そして、自衛隊大活躍。
架空の便利な対ゴジラ兵器がないため、在り物を総動員し、知恵と勇気と有能さで立ち向かっていく姿、格好いい!
あんまりスポットは当たらなかったけれど警察も消防も頑張っており、危機に際してそれぞれの立場でベストを尽くす、日本の底力を見せてくれるようで嬉しい。
米では、9.11以降、ビル崩壊の恐怖をスペクタクルシーンに用いることが多いけど、『シン・ゴジラ』は3.11以降を感じさせる。
初代ゴジラが「戦争」を表しているなら、今回は「人智を越えた災害」かな。
原発事故への対処を思わせるところもあったし。
現在を生きる者にとり、戦争はもう(幸いに)身近でもリアルでもない。
が、3.11以降(いや阪神大震災?もっと前から?)、大災害の恐怖と誰も他人事ではない損害の大きさ、復興の困難は、卑近な現実として感じられる。
被災する人間各個への目線が不足している、災害報道を見ているようなこの映画で、しっかり恐ろしさを実感できるのは日本人の共通認識となったこの経験のため、だろう。
この映画の特異な形式から来る問題、庵野総監督の個性がもたらすアク、都合の良さ、色々と言いたくなるマイナス面はありつつ、でも今日、作られる「ゴジラ」として、十分すぎる出来。
気になる人は是非、映画館で見て欲しい。
で、次回作妄想。
庵野 秀明は外れるのだろうから、樋口 真嗣だけで監督を?それはちょっと不安な……
今回のフォーマットを踏襲して、個人のドラマに寄らない人間集団VSゴジラを描くなら、「野党の反対による作戦停滞」「無能な政治家・官僚による失策」 なんか入ってくるかも知れないが、余程上手く料理しないと「こんなの無い方が良い、ウザい、庵野がそういう要素を入れず作った理由、分かった」と言われそ う。
そうでなく怪獣対決に移るなら、中国が収集したゴジラ細胞を培養・遺伝子操作して作った亜種怪獣チャイナ・ゴジラ、それと呼応するように日本海へ入るシン・ゴジラ、両者が尖閣諸島で激突「代理戦争、勝った怪獣の国の島になる」話とか。
あるいは韓国が作ったコリア・ゴジラと竹島で(以下略)不謹慎でしたすみませんでした。
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