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オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

『ウルトラマンタイガ』19.「雷撃を跳ね返せ!」

 シリーズとしての折り返し点をとうに過ぎて。
 やはりというか、思った以上に、作品の根幹を成す「一人の地球人の体に、三人のウルトラマンが同居する」という設定が使えていない。
出身惑星さえ違うウルトラマン達による衝突、また彼らと地球人との立場の違い、敵への対応・作戦の違いから起こる危機、それらを乗り越えて発揮される本当の(それ以上、何倍にもなる)力、といった、当然予想される物語への組み込みがほとんど無く、「そういう設定だから一緒に居る」だけに留まる。
トライスクワッドによるネット配信ボイスドラマでフォローが成されている、って話も聞くけど未聴。
 主人公の先輩が宇宙人だという設定、こうなるとウルトラマン人間体なことを隠蔽する主人公、それから先輩が正体を隠している(そもそも隠せていないが)所に意味が薄くなってしまい、うーん。
 超能力アイドルや魔法の話を前後編で展開する余裕があるなら、こういった基本を固めるのこそ優先じゃないかなあ。

 ただイヤな悪役というだけで魅力に欠ける敵・霧崎が惜しい。
前作『R/B』の愛染どころか、後半でボス敵になった美剣サキにも全然負けている。
 彼との最終決戦に向かうのだろうシリーズの流れには、あんまり期待が持てなくて残念。

 それではこの作品に見所がないのかというと、いや、全編目が離せない。
もう驚くぐらい、ミニチュア特撮に力が入っているから。
 執念を感じさせる作り込んだセットを手前に置き、ウルトラマンや怪獣の巨大さを感じさせるのは、まあ恒例として。
 今回の内容では、高速道路上で怪獣から逃げる車を、模型車のラジコン走行(?)により表現し、高架の道路が次々落ちる中、走り続ける一台の車をカメラが追って、「崩落する道路に巻き込まれるサスペンス」と「このセットどこまで作ってるんだ?」二つのドキドキを感じさせてくれた。
 前回冒頭、少し映りの悪いテレビなら実景と間違えるぐらい細かい街中の線路を電車が走る、これだけでも凄かったが、「その模型電車内にカメラを置き、窓越しにミニチュア街の風景を移動しつつ捉える」このショットには「おおお!」とか声が出てしまった。
長い特撮の歴史でも、こんなことやったのは、初めてじゃなかろうか。
 他にも、「地下から出現する怪獣」というお約束のシーンについて、ミニチュアの駐車場セットを本当に深く掘り抜き(高くセットを作ったのかな)、穴の底に頭部を覗かせる怪獣の、これまた見たことない絵があったり。
 ビルセット破壊の際、割れる窓ガラスをCGで?細かく入れて巨大感を出そうとしていたり。
 とにかく熱い!
予算は決して潤沢じゃなかろうに、特撮班の度を超した情熱で、数百倍の予算規模で撮られるハリウッドCGにも負けない、驚愕の画面を見せてくれる。
特撮スタッフは家に帰れているのか、無駄な心配をしてしまうぐらい。

 興味深いエピソードもある、例えば18話「新しき世界のために」。
 ボロアパートに暮らす宇宙人、という意味では『ウルトラセブン』メトロン星人のちゃぶ台シーンを思い出す。
しかし、メトロン星人は「驚異的な科学力や侵略意図の偽装のため」ボロアパートだったのに対し、こちらは「普通に働いても生活が苦しくてそこに住んでいる」。
 以前は、同等以上の力を持つ敵対者・侵入者として宇宙人が描かれたけれど(「怪獣使いと少年」のように難民然とした宇宙人も居たか)、今は、平穏に暮らそうと地球にやってきたが、差別のある生活に疲れ不穏な思想を吹き込まれたことでテロリストになってしまう「不法入国者」。
 『仮面ライダーゼロワン』のヒューマギアもまた、人口減少に苦しみ、海外からの労働者や移民に頼るしかない状況で、日本人とは「異質な」考えを持つ人々への偏見・不公平な処遇は続き、そこに火を付けられた時の恐ろしさについて描いていると思える(勿論、それでも通じ合える喜びも)。
 日本人だけでは社会を維持できない未来、いや現在、すぐに考えるべき問題。

 今回の、相撲取り(雷様?)みたいな怪獣と戦いつつ、ヘソのカプセルに捕まっている社長を助け出そうとする、『ウルトラマンタロウ』みたいな馬鹿話も、単体として楽しかった。
シリアスな連続エピソード中で扱って良いネタかどうかはともかく。
 このまま、特撮スタッフ入魂の画面に応えるシリーズクライマックスに、なると良いなあ。
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