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『波よ聞いてくれ』最終12話.「あなたに届けたい」

 ラジオをテーマに、最初は余り面白くなりそうと思えなかったけれど、見終わってみれば実に楽しかった作品。
 主人公・ミナレのラジオ放送。
「皆さん今晩は、ミナレです。今夜も時間までお付き合い下さい。では早速、リクエストを頂いております……」なんて常識的なモノではまるでなく(それはスタートから明らかだったんだけど)。
パーソナリティというより、即興演劇、アドリブで進める舞台役者に近い感じ。
 漫画という原作の性格上、ブースに座って本当にただ喋っているだけでは絵としてもたない、という理由もあろうか。

 ストーリー進行に伴って明らかになる、ミナレの恐るべきダメさ加減。
 しかし、オモシロ系ラジオでは、パーソナリティが愉快なヤツだというばかりでなく、話す価値のある事件を引き寄せる・巻き起こす、という「才能」も必要。
 彼女は、そういう意味でラジオの……お笑いの神に愛されていると言える。
全て吐き出して昇華する媒体を持たない場合、そのまま「呪われた人生」に思う恐れもあるけれど。

 シリーズクライマックス、地震を起こすのに驚く。
北海道胆振東部地震を元にしてあるのか。
この作品なら、新型コロナによる社会の変化も、ネタとして扱えそう。
 大きな災害に対し、ラジオの強さが発揮され、普段は少々頼りないような人々と共に、在り方の厚み・存在意義を見せてくれるのに感動。
 原作は続いているし、アニメ第二期も可能性としては……だけど、「良い最終回を見た」気分。
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『本好きの下剋上』最終26話.「夢の世界」

 一期の最初で違和感を抱き、このアニメ化はどうだろうとケチを付けながら、しかしずっと見てた。
 引っ掛かったのはその部分ぐらいで、演出・作画とも水準をしっかりキープしており、原作の面白さを損なっていない。
マイン声優さんの巧さや、手足が細くて頼りないマインの描き方は、アニメ化して良かった所。

 この作品でマインは大きな魔力を持っているようだが、それを用いて無双するようなことなく、逆に命を奪われるほどの脅威になっている。
 現実界で異常な本好きだった彼女の知識は膨大なもの。
 しかし、過度に儲けたり、社会形態を変えるような情報を伝播させず。
火薬や銃器、『JIN-仁-』ペニシリンに代表される医薬品、自転車やがては自動車など移動手段、効率的農耕の仕方など、桁違いの富をもたらしてくれる知識も、あるいは持っているだろうに。
 ただ、この作品において現代知識の披露は、単純に賞賛の驚きを持って迎えられるに留まらず、より効率的に稼ごうと考える者、不審を感じる者など、酷く虚弱なマインにとって必ずしも嬉しくない反応をも引き起こしてしまう。
 宗教が大きな力を持つ世界であり、「神の意に背く異端者だ」と捉えられた場合、命の危険さえ。

 非常に賢いマイン(大きく迂闊な所も)としては、考えながら、安全な範囲で知識チートを用いているのだろう。
 これら、作中の各所から強く感じられる「抑制」が、この作品を他の異世界転生物と隔てる。
自分は面白いと思うけれど、爽快感に欠けると感じる人も居るだろう。
 世界観・物語・キャラクターと良く出来ており、年齢に関わりなく楽しめる作品。
特に原作、上手く展開すれば「ハリー・ポッター」的に海外でも受け入れられないかなあ。
 小説がまだ続いているのだから当然だが、アニメは全然途中までで終了。
視聴率や円盤売り上げが好調だったかは分からないけれど、第三期の開幕を楽しみに。

『BNA ビー・エヌ・エー』最終12話.「Anima-City」

 Netflix先行配信に合わせたスケジュールだったからか、あるいはTRIGGERの意地か。
この厳しい制作状況の中、高い作画クオリティを維持、迫力のあるアクションまで毎回披露しつつ、最終回まで駆け抜けた。
 当たり前のように行われる獣人化、その暴走、クライマックスの巨獣激突ビーム合戦まで、この作画ありきで最初から考えられており、絵的なパワー不足があったなら、もう見ていられないアニメになってしまっただろう。
 そういう意味で、非常に見応えのある作品だった。

 反面、テーマなのだろう「獣人と人間の差異・差別」「属性に寄らず、自分らしく生きること」辺りについては、アプローチが余りにもそのままで、面白味や腹に堪える深みを感じ取るに、少々薄めだったような。
 キャラクターの行動原理についても、見たままのことは分かるが、それ以上に理解が進まず、物足りない。
 とはいえ、つまらなかったかというとそんなことはなく。
TRIGGERに望む面白さ、ラストに向かっての物語・演出的な暴走、といった部分が今回は弱く、そこを少し不満に感じてしまった。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』最終12話.「最終イベントが来てしまった…」

 想定内のイージーモードでラスボス?も攻略してしまうカタリナ。
 彼女自身の魔法力はともかく、相当な能力を持つはずの親衛隊がせっかく周囲を固めているのだから、もうちょっと彼ら彼女らを有効に使う作戦があっても。
 そういう計算高さをまるっきり持たないカタリナだからこそ、傷ついた心からATフィールドを張り巡らせた相手に対し、「ATフィールドって何?」とばかり全く抵抗を感じずスルリと内側に入り込み、頑なな気持ちを溶かすことができるのだろうが。
 シリウスに取り憑いた魔導師も、思えば哀れな存在なので、彼の家族(存命か謀殺済みか分からないが)と再会させ浄霊、という対応をしてあげても。
こんな真相、事前に予測できるはずもないか。

 もうちょっと見続けたいアニメだったなあ、と思ったが、既に二期の予告あり。
 再開を楽しみに。

『アルテ』最終12話.「弟子」

 ヴェネツィア編に移ることで物語のテンションが落ちないか少し不安だったけれど、超絶可愛らしいカタリーナとの関係が良すぎて、もうフィレンツェに帰らなくていいんじゃないかと思うぐらい。
お母さんも美人で素晴らしいが、カタリーナは娘にしたくて攫いたくなる(通報)。
 この作品は、ほとんどのキャラクターが自らにプライドを持って生きてて、心地よい。
アルテやレオナルドは勿論、幼くして生き方を選ぼうとするカタリーナも、流されているようで現実に即した人生を後悔していないアルテ母も、娼婦のヴェロニカでさえ(いや彼女は特に誇り高い)。

 アルテは、男でなければならない世界に飛び込みながら、女であることを捨てたり諦めたりしない。
強く・逞しく、しかし優しく・しなやかに、自ら変わりつつ、取り巻く世界をも変えていく。
 女性には生きづらいのだろう(男としてしか生きていないのでこの辺を実感するのに限度がある)現実に対応しようとする時、この作品からは、何かしら得られる物がある……のではなかろうか。
 だからやっぱり、NHKで夕方に放送し、できるだけ多くの女の子に、男の子にも、見て欲しかったかな。

『かくしごと』最終12話.「ひめごと」

 久米田康治が得意とする、くどいほど押し込んでくるネタの洪水、といった形式はあまり取らなかったアニメ。
そのため、笑いは少々弱かったかと思うが、毎回挟まれる「成長した娘(これが現在で、本編は回想になるのか)」エピソードと共に、お話として見やすい内容だったと思う。
 可久士は、下ネタ漫画を描きながらそこから得た収入により妻を探し続けていた。
その真摯な姿をマスコミに暴かれ、読者に知られてしまった後では「もう何を描いても笑ってもらえない」と筆を折ってしまう。
 原作者の漫画は、最終回近くで恐ろしくシリアスになる事があり、そこを読んだ後では本編を読み返しても、以前のように笑えない可能性が……そういう実感から来ているのかな。

 父のために走る姫、心血を注いで描き上げた原稿によって記憶を取り戻してく可久士、といったクライマックスは、感動的。
しかし、長い間、様々な漫画を描いてきたなら、記憶喪失に寄らずとも「これ自分が描いたんだっけ?」と思う原稿があって不思議ない。
大した数、描いてない自分でも、ある。
 久米田康治は、そういうことがない、記憶力に優れたタイプの作家さんっぽい?

 新型コロナのため混乱が収まらないアニメ界。
そんな中、クオリティを落とさず最後まで放送できたのは、お見事。
 エピローグは、大瀧詠一をフルで聞かせて欲しかったかなあ、そこだけ不満。
もう「別れの気配をポケットに隠して」いないから、流さなかったのか。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』10.「破滅の時が訪れてしまった… 前編」

 チート能力無双系ではなく、どちらかというと優位知識系なのだろうが、それを万全に活かして危機を回避する、というほど活用している訳でもないヒロイン。
 ただ生来のお人好しさ加減により、男性キャラのみならず、同性である女性キャラまでもたらし込んでハーレムを築いてしまった。
 もうちょっと思い通りにならず、ピンチに陥ることがあればストーリーとして盛り上がるような……
と思いつつ、過剰なほどモテモテなだけが悩み(ヒロインは無頓着)の状況はストレスゼロで、気持ち良く見られるのも事実。

 このまま最後まで行くのか、という予想を裏切り、シリーズクライマックス的なイベント到来。
 ヒロインが現実界でプレイしていたゲームと同じ状況が無理矢理作り出される辺り、最大の敵となるのは「ゲームシステム、この世界では歴史的必然の強制力」かと思ったが……
生徒会長個人の問題に帰結するのかな?
 それも、既にヒロイン熟練の人たらし手練手管で攻略の糸口が見えており、ハラハラするほどではなく。
後編で「生徒会長も私を囲むハーレムの一員に加えてあげましょう、ホホホ」に到るまでの過程を楽しむのみ。

 考えてみると、カタリナ・クラエスが悪役だったゲームの各ルートでは、不幸もありつつキャラ達は幸せを掴んでいるのだが、彼女が「自分の破滅を避けるため」悪役を務めないことにより、周辺キャラ達は一人に群がる余り「誰かと結ばれて満たされる」エンディングに向かうのが困難になっており、カタリナは世界にとって善き存在に変わったと言えるのかどうか。
 新型コロナ禍で制作・放送さえできない作品が多発する中、作画クオリティも落とさずここまで来たのは凄い。
 最後まで頑張って欲しいところ。
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飛龍 乱

Author:飛龍 乱
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ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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