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『アーヤと魔女』

 スタジオジブリ、宮崎吾朗監督によるTVスペシャル。
事前番組も見ていなかったので、この企画は、てっきりシリーズとして制作されているものと思っていた。
 冒頭のカーチェイス?に面白味がない。
 捨てられたアーヤを見つけた孤児院のメガネ女性、手紙にあった「魔女」という記述をそのまま受け入れているので、この世界では普通に魔女が存在するのかと思ったら、院長は即座に否定、しかし少しだけ考え込む様子を見せるという、実に分かりにくい導入。
母親がここを選んでアーヤを捨てに来たのだから、何か魔女と関わりがある孤児院で、そこから不可解な会話になっているのかもしれないが、とりあえず単発スペシャルなのだし、無用な「意味ありげ」は削ったほうが。

 母親は、娘が成長しても孤児院に居続けることを望んだのに、アッサリ引き取られて院を離れる。
なので、そこから逃げ出すか追い返されてすぐ孤児院に帰るんだろう、と思えば、最後まで居残り。
引き取り手は母親のかつての仲間だったようで、これは計算通り?イレギュラー?
 「早くその家から脱出して」なのか「そこで頑張れ」なのか望ましい方向が分からず、気持ちを乗せづらい。
 善い悪いが不明確な男女と、良い子ではないが悪い子としての強烈さも薄いアーヤが、ほぼ家の中だけで繰り広げる勝利条件がよく分からないバタバタには、途中ちょっと集中力を欠いてしまう。

 CGのクオリティは、まあ普通。
 映画並みの画面を作れている訳でもないのに声優でなく俳優をキャスティングするのは、悪手。
作品としての表現力を落としていくばかり……「俺はプロの声優を使うよ」とキッパリ言ってくれれば、吾朗監督を少し見直すのに。
 ラストシーンから、続編あるいはTVシリーズ化の予定がある?
『ローニャ』も途中までしか見ていないし、続きがあったとして付き合う気持ちになれるかは難しいところだけど。
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『くまクマ熊ベアー』最終12話.「クマさんとフィナ」

 無敵ボーナス付き異世界転生ストーリーとして、悪くない出来。
 漫画版で読んだ時には、ユナが関わらずとも生計を立てられるよう、困窮者へのシステムを作ることに拘っていると感じられたが、アニメではさほどでもなく。
既に知っている筋立てなので、そこいらへの印象が弱くなってしまったものか。
 ユナが超絶に強く、便利な能力を持ちすぎているため、困っている人たちは全員養ってやればいいじゃないか、という気に。

 ついでに『神達に拾われた男』の感想。
 こちらも『くま…』同様、ボーナスパワーを全開にせずとも解決できる事件ばかりのゆるい内容(ユナはクラーケンに苦戦してたか)で、わずかに「経営」といった概念が入ってくるのも似ている。
 「公衆トイレ清掃をする転生者」ってのは目新しいイメージだったかな、ほぼスライムと魔法で簡単に片付けてたけど。

 どちらも、この回は冴えた作画だった!というのが無い代わり、崩壊するようなこともなく、安定。
 主人公周りに善い人々が集まり、ちょっと力を披露するだけで過剰なほど驚き、称賛してくれる、ストレスゼロの物語。
 もう少し負荷をかけた方が停滞とカタルシスの波を作れて盛り上がるんじゃ……と思わないでもないけど、それは『Re:ゼロ』『本好きの下剋上』辺りがやっているのか。

『神様になった日』最終12話.「きみが選ぶ日」

 どんでん返しというか、「なるほど、こう来たか!」と感じられる最終回を期待したけれど、特にそんな仕掛けは無く。
 難病患者と共に生きていくラストに着地するなら、量子コンピュータとか巨大企業・国家組織による非人道的な行い、なんていう扱いづらい要素は不要。
中二病少女が事故か罹患によりこれまで通りの人生を歩めなくなってしまう、ぐらいの筋立てで、ほぼ同じ内容は描けそう。

 ひなの父、大企業CEOなど、子供に無理解で「酷い」と言っても良いキャラクターが登場するが、内面の真意に触れたり、因果応報な末路をたどる、ということもなく。
 ひな父については、死に向かう娘を捨てて新しい家庭を作った非道な親父、ではないのかも、と思っていた。
しつこいほど繰り返される、陽太によるひなへの愛ゆえの執着・過度な期待・それに応えないことへ苛立ちをぶつけることで更に彼女を追い込む悪循環の描写。
父親も彼と全く同じタイプの人間で、妻から?「このままでは、ひなを精神的に殺してしまう」と言われ、苦しんだ末、離れて一切関わらず生きることを決めたものかと。
 実際には、それを示す具体的描写などなく、悪手ばかり取り続けた陽太がそれを反省してひな父と別ルートを辿る契機もない。

 CEO、入手した量子コンピュータを自社利益のため、あるいは人類社会のため使うが、大方の予想通り暴走して世界壊滅の危機、ぐらいあっても。
その状況を制御できるのはひなだけ、とすれば、「神様になった日」というタイトルとも繋がりそう。
 ところで、天才ハッカー少年ってエラく中途半端に描いて退場したような。
ひなに付いた介護士も、イキナリ興味もない悲しい過去を語って無駄なキャラを立てた上、フェードアウト。
 大多数の途中エピソードからしてそうなんだけど、余計な寄り道が多すぎる作品。

 ひな、もっと壮絶な難病を予想していたのに、意思疎通は出来るし自分の意志で行動可能。
遠からず死ぬって話もあったような……量子コンピュータにより、病状はかなり改善された?
 それでも、介護が必要な「他人」を家族に迎え入れるのは大変、実の家族であってさえ「愛があれば大丈夫」なんて簡単な話じゃない。
手厚く看護されている施設から、無理矢理連れ帰ろうとする陽太の無責任さには、ついリアルを考えるジジイとして怒りさえ。
 強引にでもラストで泣かせに成功していたなら、まだ評価できたろうが、個人的に全く乗れず、他人事としてエピローグを眺めてしまった。
心がキレイな人、あるいはこの手のパターンに触れた回数がまだ少ない人なら、感動できたのだろうか。

『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』最終12話.「それでも私は守りたい」

 ウィッチ達だけでなく、常人の軍人達も総力を上げてのベルリン奪還作戦、クライマックス。
 ネウロイの攻撃に、ある程度耐える装甲を持った巨大戦車が楽しい。
この世界の軍人は、決してウィッチを軽んじることなく、しかし頼り切って楽をしようと考えることもない。
ウィッチに敬意を払って可能な限り協力し、自分たちの責務は命懸けで果たそうとする、いかにも有能な軍人然としていて、気持ちがいい。
 それでも勝敗を決定付けるのは芳佳。
もう『ドラゴンボール』悟空のように、凄すぎる力を持っているが故、「どうやってクライマックスまで全力を発揮できないシチュエイションを設定するか」考えなければならないキャラに。
 静夏の危機から、全開パワーでネウロイを蹴散らしていく、圧倒的カタルシス。
 トドメ、は他のウィッチに譲る、ストーリーの抑制もまた良し。

 全体に、毎シリーズそうなんだけど、各話で部隊のキャラクターを取り上げ、抱えたドラマやウィッチ同士の葛藤を彫り込んだ上、きっちり昇華するクライマックスにまで持っていく、とても考えられた構成。
 お馴染みの少女たちが変わらず可愛く、それを描き出す作画レベルは安定して高い。
 今期も面白かった!
 大きな戦いが一つ終わったけれど、まだまだ先は長そう。
次のシーズンもある、かな。

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII』最終12話.「英雄回帰」

 全てのモンスターを脅威と考え殺そうとする大多数の者達と、敵対を避け庇護しようとするヘスティア・ファミリアの対立は、相当厳しくなるだろうと思っていたけれど、意外とそうでもなく。
 かなり高い立場の存在がベル達に理解を示しており(ベルをバックアップすることで目的を成し遂げようとしている?)、絶望的な孤軍奮闘、という訳でもなかったのがその理由か。
 最後、「男同士の戦い」があったことで、何となくベルらは許されてしまうし……モンスターに味方するヘスティア・ファミリアの問題行動は、ほとんどの人達にそうと認識されてないから?
 ファミリアに犠牲を出すほどの激しい戦いがなかった代わり、世の人々にモンスターへの理解が進むこともなく。
それはまだ、長い時間を掛けなければ無理だろうか。
現実の人間同士だって、住む国や肌の色が違えば、分かり合うことはそりゃもう困難を極めたりする訳で。

 とにかくウィーネが可愛く、守ってあげたくなる造形にできており、彼女のため茨の道を歩む主人公たちの選択にも説得力があった。
 アイズと真っ向から斬り合えるほど腕を上げているベルに驚き。
彼女との、そしてミノタウロスとのバトルは、作画的にも気合が入っており、見応え十分。
 これはまだ、四期もあるんじゃないかな。

『魔女の旅々』最終12話.「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」

 最後は、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』的な自分内会議?
 旅で出会った事件で、現在のイレイナとは違う体験をしたことにより、生じたパラレルワールドのイレイナ、なのかな。
 巨乳イレイナは遺伝子から違うため、あるいは魔法力による肉体変容?と思ったけど、単に詰め物。
 凹んで他者とコミュニケーションを取りたがらないタイプ、三人もいるのが可笑しい。
自信に満ち溢れたイレイナも、こうなってしまう恐れは多々あった、ということか。
しかし、自分に危害を加える粗暴イレイナとは戦うのにわずかな躊躇いもなく、イレイナの本性は失われていない模様。

 ラスト、街で日記を取り違えた相手は、別バージョンが全員消えた後も残ったイレイナで、同じ世界を別の角度から旅していくのだろう、と普通に思っていた。
 いや、全然別人なのね、アムネシア。
髪型も似ているし、ちょっと分かり辛くないかなあ……分からなかったの自分だけ?

 全体として、バラエティーに飛んだ構成で、楽しく見られた作品。
 『キノの旅』と比べてしまうと、一話ずつの哲学性というか寓意性というか、見終わって考え込ませる深度はさほどでもなかったように思うが、その分、気軽に鑑賞できた。
いや、ズシリと重い話もあったんだけど。
 『キノ』が出会う事件を主題にしているのに対し、こちらはヒロイン・イレイナを中心に物語を描いており、まさに「そう、私です」ストーリー。
 終わり方は、第二期に続くと感じさせるもの。
商業的成績が良ければ……エロではないし萌えとしても少し弱い作品だけれども、商売としてはどんなもんなんだろ。
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飛龍 乱

Author:飛龍 乱
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ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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