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『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』最終13話.「未来」

 夢と願望が大部分ではあるけれど、少々のシビアさも入って、匙加減がなかなか面白い作品だった。
 拾った女子高生が巨乳美少女で、肉体関係についても積極的であり、料理上手。
この辺りまではまあ、ファンタジーの範疇。
 しかし、彼女の貞操観念が緩くなるについては相応の、悲惨とも言える理由があった。
オタクは……いや男性一般的に「処女」を重要視する傾向があるため、キャラの商品的価値を損ないかねず、思い切った描き方。
 吉田の上司・後藤なんか、そのカウンターのように処女設定が付加されていて、ちょっと可笑しい。

 沙優の兄は、妹可愛さの余り吉田を憎み、彼を追い詰めようとするものとばかり。
拍子抜けするぐらいイイ男だった。
 こんな男前で優しい兄がいたら、そちらに助けを求めそうなもの。
母親に対して強く出られないところが、唯一彼の弱点か。
でも、実家近くにアパート借りて妹の避難場所を作る、ぐらい考えてあげても。

 どんな事情があろうとも、他人である未成年少女を長期自宅に住まわせたら、犯罪。
周囲からそういう反応はありつつ、しかし過度に厳しく突っ込まれることはないまま。
 沙優母に対面した際、「娘を保護してやった」強みではなく、その犯罪行為を語る吉田は立派。
警察に突き出される・弁護士を立てられるなどした場合、社会的に抹殺されかねない。
……まあその場合、沙優母が最も大事にする「世間体」が傷つくし、娘のためにそこまで労力をかけないだろうという読みがあったなら、なかなか冷静だけど、そういう計算とは無縁だろうな。

 沙優母から示される、一般的理解を超える断絶した思考形態が、凄い。
せめて最後は多少の浪花節など入れそうなものだけど、無いし。
 関係者全員の土下座波状攻撃により、母の許しを得て元通り実家での生活を続けられることになった沙優。
これだけ無神経な、というより過度に加虐的でさえある母親と暮らさせることが、正しいのかどうか。
 一昔前のドラマで見られた「子を愛さない母親がどこにいるものかい!」なんてセリフが「絵空事」と周知されている現在、猛毒親であっても母娘だから一緒にいるべき、それが最も良い形、じゃないと思うんだけど。
 前述した、兄が用意するシェルター入りか……母親の精神的支配から抜け出せない兄では庇護者として不適格なら、後藤に任せてしまう方がマシ。
 現実に、最悪の親によって精神的外傷をザクザク付けられてしまった人たちは、この「甘い」解決法をどう見ただろう。

 エンディングはちょっとスイートに過ぎるような。
視聴者が望む幕切れは、こうだろうけど。
とはいえ「高校で新しい彼氏ができたからもう会わないねバイバイ」なんてメールが届いて終わりじゃ、あんまりか。
 抜群ではないにせよ、崩れない作画。
沙優他、女性キャラクターの可愛さはよく描けていた。
 ナイスバディー処女デレ上司・後藤のスピンオフが見たいところ。
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『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』最終13話.「はじまりのふたり」

 凄く良い、面白いポイントが多かった、しかし問題も同時に感じた作品。
 面白かったのは、物語の中心に怪獣やその驚異を必ずしも置かず、謎に満ちた物語を、賢いキャラクターたちが解き明かしていく過程を中心に描いたところ。
 何故?どうして?の連続に、少しずつ答えが与えられるストーリーには、どんな「ゴジラ」作品にもない楽しさを感じられた。

 立ち止まらず考え、走り続ける能動的なキャラクターたちにはそれぞれハッキリした魅力があり、怪獣物にアリガチな「無駄どころか展開の足を引っ張るばかりの人間ドラマ(親子・恋愛関係など)」と無縁だったことで、非常に見やすい。
 劇中、最も惹きつけられたのは、ペロ2とジェットジャガー。
特に「ゴジラ」シリーズでも幼稚な存在と嘲られがちなジェットジャガーを、物語上とても有効なキャラに描いてくれたのは、元々好意的に見ていた身として嬉しいところ。

 問題と感じられる部分。
 怪獣バトルに重点を置かなすぎていること。
対アンギラス戦が一番盛り上がったかなあ……後半に行くほどその傾向は顕著となり、クライマックスになるべきゴジラ決戦の物足りなさは、一応「ゴジラ」を冠している作品として残念すぎ。

 面白かった謎解きだけれど、後半SF的な暴走が感じられ、駆け足の説明に???となる部分が多かった。
そうなってくると、「分からない設定紹介にばかり長い時間かけるより怪獣戦闘に注力して欲しい」気持ちが湧き上がるのをどうしようもなく。
最近見た映画『テネット』なんかと印象が被ってくる、置いてきぼり感。
 魅力的なペロ2とジェットジャガー、とはいえ彼らばかりが頑張って真相に迫っており、人間は「お任せ」するだけ、みたいに見えてしまう。
 最終決戦で巨大化するジェットジャガーは燃えるシチュエイション、しかし元の実写版みたいな唐突さあり。
ここに、なるほど!の納得感があればなあ。

 不満は多々ありつつ、では見終わって満足感しか残らない「ゴジラ」作品が歴代何本あるかというと……
その中で、全く新しい切り口に挑み、ここまで楽しませてくれたことは称賛すべき。
 最終話のラストカットで示される存在や、毎回のエンディングで見せられる本編未登場の怪獣たちは、シーズン2があれば、ということ?

『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』最終12話.「リアル×VR」

 最強の敵との戦いで、覚醒したかのようなパワーアップを見せたヒロだが、結果的に負け。
膝カックンで負けてしまう脱力加減は、リアルと言えるのかどうか。
 強敵を前に都合よく主人公が強化されてしまう、こんな展開をこそ最も否定するゲームだったのでは?
ヒロを庇って命を落とすアリシアにしたって「いかにも物語」で、ちょっとテーマにブレが生じているような。
 さすがにまたゼロからゲーム開始、はキツいと思うけれど、コンティニュー裏技が存在する便利さも、うーん。

 現実でロクデナシ同級生に喰い物にされているヒロ、というのが乗り越えるべき大きなイベントの一つ。
教えられた、人生にも通じる裏技を用い、堂々と彼らを撃退するカタルシスが演出されるのだろう、という予想を裏切る、気合の抜けた幕切れ。
 「超えられないと感じられた巨大な障害も、向かってみれば(彼らに向かってさえいないが)意外なほど大したことない」とする描き方か。

 作画に少々の乱れがあり、特に大事な最終回で崩れを感じてしまったのは残念。
 美人で肉感的なスタイルを持ちながら、真面目に交際したいと全く思えない・破滅させられそうな玲於奈のキャラクターは、楽しかった。
 シリーズ開幕当初のツカミと、衛兵隊でのヒキョ―なイジメ対処が、最も面白い所だったかな。

『SSSS.DYNAZENON』最終12話.「託されたものって、なに?」

 10話ぐらいまで、とてもまとまるとは思えないストーリー運びだったけれど、かなり怒涛の展開で終幕。
 なんで?どうして?という疑問が結構残り、何もかもスッキリとはいかないが……
ダイナゼノンや怪獣関係を除けば、「鬱屈を抱えた若者たちの物語」としてはキレイに・青春ぽく終わっており、視点をどこに置くかで評価は変わってきそう。
 とはいえ、理屈よりもパワー優先のクライマックス。
渾身の演出と作画で盛り上げて見せてくれたことで、見終わっての満足度合いは高い。

 仲良くなれそうな予感を持たせながらも、叶わない怪獣使いと蓬達。
一人ぐらいは分かりあえて良さそうな。
 怪獣使いはテロリスト……とまで言わず、暴力行為を用いて現状変革を志す者達、か。
 彼らと同じ能力の片鱗を見せる蓬は、人間グループの中で表面的に最も穏やかで歪みが少なく思わせつつ、「そうではない」素養を秘めているのかも(夢芽を変化させることで昇華済み?)。

 エンディングで次回作タイトルが明かされており、三部作完結編となるのかな。
 今作で残った疑問点など解消する予定はあるのかどうか。
 ともあれ、楽しみに待ちたい。

『スーパーカブ』09.「遠い春」

 最初、内気な良い子ちゃんかと思っていた小熊だが、カブを通して希薄だった人間関係が充実し、また心が開いていくことで、覗ける本当の彼女は、意外なほど辛辣。
 カブで富士登山に挑み続けた礼子に掛けた言葉とか、ちょっと驚いてしまうぐらい。
礼子が大人だったから(あるいは自らの行動に自覚的だったから)大事に至らなかったが、下手すると絶交モノ。
 しかし逆に、彼女が乗る郵便配達カブを笑ったりしなかったのは、立派。
悪意がなくても「えーっこんなバイク乗ってるの?なんで?せめて色ぐらい塗り替えようよ」とか言ってしまいそう。
その段階でもう、礼子と仲良くなれる可能性は消えてしまうだろうから、小熊は凄いのかも。

 体調を崩し、一度は諦めた修学旅行を、カブで追いかけて参加してしまうエピソード、好きだなあ。
 危険な行動に先生が怒るのは無理ないが、お仕着せのツアーで回るより貴重な体験をしたのも間違いなく。
 礼子と二人、カブで走り出すシーンには、胸が一杯になってしまう。

 作画レベルが少々落ち気味なのは残念だけど、かなり楽しく見てきたこの作品。
今回はちょっと戴けない。
 自転車で川に転落した椎からの助けを求める電話を受けた小熊。
対応として「警察・救急にも、椎の家にも一切連絡せず単身向かい」「雪道を、濡れた服のまま、椎をカブの前カゴに乗せて風を受けさせ走るという無茶を重ね」「病院などではなく自分の部屋に連れ帰り泊まらせる」フィクションにしたってデタラメな行為を、妙にモタモタした演出で見せられ、ストレス。
 本当に危険な状態なら、椎自身がまず親か警察等に救助を要請するべきだろうに、小熊を選んで掛けてきた時点で、緊急性はないと判断したものか。
といっても、事故直後なんて正常な判断が必ずできるとは限らず、椎の状況がわからないのだから、万が一を考えるべきだろう。
 小熊は、常に正しい対応を取る冷静なキャラクター、ではなく、考えの足りない行動が目立つぐらいなので、そういう点では「自然」なのかな。

『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』09.「妖精の力」

 衛兵隊に入ったヒロを待っていたのは、サイテーの教官と陰湿なイジメ。
 「俺TUEEE」物であれば、圧倒的実力を発揮して相手を黙らせるのだろうが、劇中で何度も言われているようにリアリティ(主に嫌な方向への)を追求したこのゲーム中で、そんな都合の良いことは起こらない。
 現実にヒロが置かれている境遇と重なるイジメは、精神的になかなかシンドイ。

 この窮地をどう脱するのかと思えば、ヒロ本人は特に動くことなく、妖精・玲於奈が起こす極悪な反撃で、ロクデナシ衛兵志願者の一人をメンタル的に追い込み、逃げ出させてしまった。
 相手はクズだった、とはいえ、さすがに気の毒に思ったヒロが手を差し伸べ、戦闘能力自体は高い彼らとチームを組むことになり、やがて大きな戦果を上げる……なんて展開も予想したが、ないない。
 サイテー教官への鉄槌は、上層部への密告により、落としてもらう。
言いつけた罪を、イジメ二人組の残った方になすりつける周到さは、凄い。

 熱血とか正々堂々なんて概念とは無縁の、卑怯とさえ言える決着だったけど、まあ「これでいい」んだよね。
 自分より弱いものをネチネチいたぶってくるような相手に、正面からぶつかり、何なら友達にまでなろうと考える人は、自由にすればいい。
しかし、それを他者に強制されちゃ困る。
 最低の人間には、最低の反撃を加えて構わない。
 「リアルを極めた」ゲーム世界は、それを教えてるんじゃなかろうか。

 といっても、ヒロがこの反撃手段を実行していたら、犯行目撃者が現れるなどして、命に関わる危機的状況に追い込まれたのかも。
玲於奈の存在がなければ、どうなっていただろう。
 その辺も、「窮地から抜け出すのは一人では難しい」「労を惜しまない理解者・協力者が不可欠」ということで、リアルかな。
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飛龍 乱

Author:飛龍 乱
HPはこちら。
ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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