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『シキザクラ』最終12話.「未来」

 恐ろしい強敵を前に、仲間たちは死力を尽くして戦い、不在だった主人公の帰還と全開パワーが勝敗を決定づける。
どこも間違っていない、正統派のクライマックス。
 イバラと分かれてしまうのは意外。
続編の可能性を残すものと……まあ「帰ってきた」ことにすれば良いか。

 全体に。
 3DCG部分は安定していたが、手描き部分のクオリティに難があり、気になって画面への集中を欠いてしまうことも。
 主人公の親友・吉平には、作り手の思い入れが感じられたけれども、ほぼ一話を費やして描くほど物語的には重要な役でなく、代わりにイバラとの関係性を、より重点的に扱った方が効果的だったような。

 ストーリーはスッキリ分かりやすく、随所に(ヒーローショーの下りなど特に)特撮ヒーローへの憧れ・愛情が感じられた。
変にひねくれず、その気持をそのまま作品として昇華させており、見ていて気持ち良い。
 最終話、『八十亀ちゃん…』のキャラクターがチラッと出演していたのは、可笑しい。
名古屋の魅力をアピールする作品テーマ?が成し遂げられたかどうかは、ちょっと分からないが、好感の持てる、好きなアニメだった。
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『境界戦機』最終13話.「隠岐の島戦(後編)」

 対ゴースト戦、決着編。
 赤外線映像で排熱装置を発見し、そこを重点的に叩く作戦。
他国の軍人達は、映像分析してみようってぐらい考えなかったんだろうか?
弱点が分かってはいたけど、ゴーストの高い戦闘力と機動性に翻弄され、打撃を与えられなかった?
 そもそも、なんでレジスタンス側が、最悪、主力機やパイロットを失う危険まで冒して、ゴーストを破壊しなければならないのか。
パイロット個人の因縁、加えて主人公らの属する組織が「人々の命と暮らしを守る正義の味方」だから?

 レジスタンスは敵軍と比べ、遥かに弱い戦力しか持たないはず、なら損害を出してまでゴースト討伐なんかやってる場合じゃない。
「我々は対ゴーストを主目的として集まったレジスタンス組織だ」というなら別だが。
 乗機AIに分析させ、ゴーストの大まかな所在地と目標選定傾向を割り出し、誘導して、敵軍に突っ込ませるのが有効。
使えるものは何でも使わなきゃ、国家規模の敵相手に太刀打ちできるはずない(「十分できてる」幼いストーリーだけど)。
 八咫烏、ロボットや武装を持たず、「日本人と進駐軍の安全を守るNPO」として再結成し、占領国にも認めてもらったらどうか。
山奥の村を暮らしやすくするとか、離島から住民や逃げ遅れた軍人を避難させる、なんて活動なら、認めてもらえないこともないはず。
その上で、秘匿していたロボやAIを、敵軍に知られず日本人の有利になるよう用いる強かさを見せれば。

 13話、シリーズ全体の半分?まで見てきたが、どういう目標に向かい、どのような方法で実現を目指しているのか、ハッキリせず。
 本当のところ、海外マーケットを重視する現在のアニメ制作環境で、ぼかした名前にしてはいるけれど実質アメリカやら中国を「非道な敵」として戦い、殺し、負かしていくなんてストーリーは、余程の覚悟がない限り語れるものでなく。
占領国はそんなに悪辣な統治をしていない、駐留軍人だって話してみれば分かりあえる、本当に悪い奴などごく一部でそれは単なる「犯罪者」、レジスタンスも占領国や軍を憎んでいる訳ではないし資材も時間も余裕があってのんびりムード、無人機メインなので戦死者は出ず、互いの根深い怒りは主にゴーストに向けられる。
 基本設定を活かせてない、というより、余計な設定に足を引っ張られて、何を表現したいのかも曖昧になってしまっている。
「異星人が日本に放った謎の侵略ロボット・ゴーストを倒すため、特殊部隊・八咫烏が、軍事力誇示や異星人技術奪取を狙う各国派遣軍と、協力したり裏切ったりしつつ戦う」ぐらいの話にした方がスッキリしたような。
 二期を楽しみに待てる出来だったかと言うと、うーん。

『ルパン三世 part6』11・12.「真実とワタリガラス/英国の亡霊」

 ワトソン殺害犯である黒幕。
目だけ見せていることから、すでに登場しているキャラだと想像され、そうなると対象はルパン・ホームズ・レストレード・いつか悪役に転落しそうな八咫烏・意外と自作自演でワトソン……ぐらい。
 と思っていたのに、意表を突いて、というか全然影が薄くて「そういえば居たっけ」のMI6エリオット。
 脱力する真相……だが実はレストレードこそ黒幕というか事件の実行犯だった。
で、ですよね。
ちょっと反応に困ってしまう。
 原作ホームズにも登場するキャラクターを、こんな悪役に描いちゃっていいのかなあ?
最終的に潔く身を処させたのが、せめてものフォローか。

 レイブンの秘密。
引っ張っていたポスターに価値がなく、それに替わる謎解きは???で、肩透かし感すごい。
 かつては大きな価値を持つものだったろうが、現在ではほぼ無価値、というパターンは珍しくない、その上、今期だけでもつい先日の9話「漆黒のダイヤモンド」で使っており、「また?」としか。
監督、やっぱり湊かなえに書き直しを要求するべきだったのでは。

 登場していたホームズは、名前を継承した何代目からしいけど、モリアーティは?
名前を聞いて何のリアクションもない所からすると、初代が教授と対決してない世界なの?
何となくホームズ話は終わる雰囲気の中、モリアーティを出した意味は?

『海賊王女』最終12話.「選択の巫女」

 とにかく作画的に素晴らしく、物語としても、原作のないオリジナル作品だということで先が読めず、初回から大きな期待を持って見続けたアニメ。
 終わってみると、うううーん、何だか大きな盛り上がりがなく、キャラの魅力も掘り下げられたとは言い難い。
 最終回は、一応ちゃんと見たつもりだけど、???の連続で面白いとかつまらない以前に、どうしてこうなった?

 絵的には最後まで崩れず、今期厳しい作品も多い中、血を吐くほどの頑張りよう。
 これでストーリーやキャラさえ良ければ……
恐ろしい敵、お宝へ近づく構成、仲間割れ、葛藤、アクション、求められるべきことは通り一遍やっていると思うんだけど、この物足りなさは何を原因としてるのか。
 惜しい。

『見える子ちゃん』最終12話.「見える子ちゃん」

 異常な量の猫怨霊に憑かれた先生は、てっきりサイコな動物殺害犯だとばかり。
 意表を突く真相の明かし方、非常に巧みで感心。
 死んでもなお彼から離れない恐ろしい母親霊と、そういうものから逃げ続けていた劇中で初めて、面と向かって対決するみこが格好いい。
参詣以来、彼女を守ってくれている狐?の存在を前提としたもの、ではあるが、絶対的なものとは限らないし、守護の回数を使い果たすことにもなり、やはり大きな勇気と犠牲を伴う行為。
 レギュラーの男性キャラが少ないこの作品で、先生は珍しい美形キャラな訳だけど、今後も何らかの関係は続くのだろうか。

 みこは最後まで、強力な霊能力が覚醒する、などということもなく、基本的に怯えて、霊と目線を合わせないようにするばかり。
これで面白く見せてしまう作劇能力、凄い。
 どんなに強力そうで恐ろしげな悪霊でも、生きた人間へ物理的なダメージを与えることは不可能そうであり、「見えなければどうということはない」なのが、独特。
 憑かれた人間に霊障が現れるようであれば(多少はあるようだけど)、その原因を特定し、今後の生き方を指導することで、この厄介なパワーをプラスに(金銭に?)転換することも出来たろうが。

 生命力が溢れ出るハナは、楽しくて惹きつけられるキャラクター。
 ユリアやゴッドマザーなど、まだ面白く転がせそうなキャラは多く、ここで終わりは残念。
 原作漫画を読めばいいのか、でもアニメで見たいなあ。
 という訳で、二期に期待。

『ルパン三世 PART6』10.「ダーウィンの鳥」もうちょっと

 劇中でも語られていたけれど、金星……明けの明星は、ヴィーナスとルシファー、どちらの呼び名も持つ。
 美の女神・ヴィーナスといえば『ルパン三世』劇中で、峰不二子を指すだろう。
 ヴィーナスとルシファーは表裏一体、と考えるなら、ミカエルが真に求めたのは、ルシファーの化石ではなく不二子だったのか。

 どうも、最後に不二子が、わざわざ発音を確認してまで名前を呼びかけた際、見せたミカエルの邪悪とさえ言える表情が気になって。
 前の感想と真逆だけど、ミカエルが言っていることは全部ウソ、という可能性もあるかなあ。
実は彼こそルシファーだったり。
 押井守作品らしく、考えれば考えるほど分からなくなるし、そもそも「正解」に辿り着ける構成にはなっていないのだろうが。

『ルパン三世 PART6』10.「ダーウィンの鳥」

 脚本は、再度登場の押井守。
 「天使の化石を巡る物語」というのは、幻の押井版映画『ルパン三世』のプロットと同じ。
 とはいっても、監督のことだから「なんじゃこりゃあ」みたいな話にしちゃうんだろうな……
 なんていう予想を裏切り、意外や意外と、映画が完成していたならこういう内容だったのかも、と思わせるストーリー。

 不二子と謎の依頼主が交わす長々としたウンチク会話では、ヘミングウェイの悪夢再び?と嫌な予感がよぎってしまう。
興味深いというか、「へぇ、そうなんだ」という話ではあったけれど。
 後半は大英博物館に挑む盗みのプロセスとなり、それ自体は斬新なものではなかったものの、監督の「神」へのアプローチ姿勢が感じられて、なかなか。
 不二子による博物館防犯プログラムへのハッキングと同時に、ミカエルが変装したルパンによる時間流改変が行われており、「同じ時間を何度も繰り返す」押井作品お馴染みの展開に。
 幻の映画版で、天使の化石の正体は原爆だった……ということらしいけど、今回はそのまま?堕天使ルシファー。

 神の真意は、進化論の否定?堕天使の回収?
どちらにしても、時間さえ操作できる能力があるなら、もっと早く、不二子の手など借りずとも実現できそう。
 劇中、ルパン・ミカエルが「俺は不二子の守護天使だからな」と語っていた。
その言葉が嘘でないとすると(ミカエルは「嘘」は一度も言ってない?)、彼は真実、不二子を守護する天使だったことになる。
 盗んで、騙して、他者を傷つけて生きる不二子への救済策として、「神」の依頼を叶えることによる減刑を目論んだのかなあ、とか。
 あるいは不二子こそがルシファー、もしくはその化身であり、堕ちたその身に差し出された神の手がミカエル……だいぶ妄想気味。

 ラストはパッと見、ループして最初に戻り、依頼に応じないルートへと入ったように思えるけど、二度目は博物館内でも不二子がコートを着ており、外に雪が降っていることから、より寒い時期だと分かる。
もしこれがミカエルとの最初の出会いであれば、迎えの車に乗ってすぐ「神様の依頼」と理解しているのも、彼の名を「ミカエル」と発音の正しさを確認しながら呼ぶのも、不自然。
 結局不二子は、「神」に仕えることによる救済を拒否してしまったのか。
 宗教が描く神の国って、なんか窮屈で退屈そう、などと考える不信心者の自分には、不二子の選択も分からなくはないなあ。
 今回のストーリーは、何段階かの深読みが可能だと思われ、こんなんじゃ浅い?というのが不安。
その辺も含め、「ルパンとして」はともかく、「押井守作品として」面白い内容だった。

『ルパン三世 PART6』09.「漆黒のダイヤモンド」

 今回は脚本が、人気小説家の湊かなえ。
作品自体は読んだことない不勉強な自分でさえ、名前やタイトルのいくつかは知っているし、映像化された『告白』の恐ろしさには震えた覚え。
 だということで、絶望的状況の今期オムニバス枠に活を入れる出来になってくれないかと期待しての視聴。

 結果、他と変わらないレベル。
 二時間スペシャルのつもりでストーリーを作ったのか、無駄な要素が多すぎ。
オークションいらないし、こけしも上手く使えてない。
住む村を壊滅させられた(住人も殺された?)日本人女性が、襲撃者である海賊に一目惚れ?して着いていくのは唐突で、「馬鹿女」としか。
その妹である老婆と曾孫娘が今回のマドンナなのだろう、しかし二人もは不必要、不二子が絡んでいるのだし老婆だけで良かったはず。
意味不明な「ルパンパウダー」は、ラストの黒胡椒と引っ掛けているつもりなのかな。
 不二子の背中に盗聴器?を付けるシーンの不自然さ、船で五ェ門が食べているものが何なのかも分からない作画、全く無駄なのに枚数を使う巨大イカ退治……画面作りも良くない。
 遠く異国で亡くなった姉を思う妹、人生の最後に体の弱い妹を思う姉、というセンチメンタルな締めに向かう筋立てであれば、余計なところをとにかく削ぎ落とさないと、散漫で何も伝わらない。

 有名なゲスト脚本家を、今期の監督では抑えきれず、「書き直して!」など言えるはずもなく、この惨状を招いたんじゃないかなあ。
「二枚に分かれた地図」なんて、今期本筋での半分になったポスター(しかもこちらはまだ解決してない)と被る設定であり、絶対に直して欲しかったはず。
 次回はまさかの押井守ふたたび。
いかにも幻の押井版映画『ルパン』を感じさせる予告編だったけど、そんな素直な人じゃないのは当然。

『ルパン三世 PART6』08.「ラスト・ブレット」

 作画に冴えないところがあり、スコットランド・ヤードの食事シーン、口周りへの食べかすの付き方が有り得ないほど雑だったり、コップの煽り方が絶対こぼれる不自然なものだったり。
クライマックスの対決も、作画都合なのだろうが棒立ちの次元に、サッパリ弾丸を当てられない敵がアホに見えてしまう。
 それに対してストーリー、各話バラエティー脚本としては、これまでで最も良い出来。
 長年不満だった、『PART2』「次元と帽子と拳銃と」において描かれた、次元は帽子のつばで拳銃の狙いを付けており、帽子がないと弾が当たらない、という設定(?)。
その話の中ではまあアリなんだけど、さすがにいつまでも公式設定トリビア的な語られ方をするのは、次元の能力が余りに低く見られているようで、楽しくない。
 これを今回、明確に否定するカットがあったのは、嬉しいところ。

 『ルパン三世VS名探偵コナン』辺りから、何故か子供(コナンは実質子供じゃないが)と絡ませられ、良い感じの味を出している次元メインの話。
今回も、少女への好意のため命を張る少年に、「ガンマンってのはな、職業じゃねえ、生き方なんだ」と説く下りなど、イイねえ。
 防弾チョッキを着込み、「ガンマン」の対決としては邪道なのだろう爆発物を用いる敵。
対して、正面から身を晒し、相棒のマグナムを最後まで信じ抜き、自らの命さえ預ける次元の「生き方」が勝利を収める、キレイな纏め方。
 遠く丘の上から狙撃したため、標的への弾着の後で銃声が聞こえるコダワリも、結構。
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飛龍 乱

Author:飛龍 乱
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ですが、現在HPは更新できなくなっています。

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