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映画『ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛』

 衛星で放送された映画『ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛』を見る。
 監督は、前作と同じく『シュレック』のアンドリュー・アダムソン。

 前作は「子供向けの童話」に思え、映像に引き付けられる所はありつつ さして感心せず見たけれど、これは面白い。
 王位を狙う野心により、正当な王子が殺されようとする冒頭からダークだし、ファンタジーの王国だったナルニアが、時を経て、現実的な人間の侵略により ほぼ壊滅しているショッキングさも、相当。
 別に前作も脳天気な内容ではなかったが、今作では全編をシリアスな空気が覆い、気を抜くと主人公達でも死んでしまいかねない。
 襲撃作戦の失敗、最後まで城門を支えたミノタウロスの絶命、城内に取り残されたナルニアの者達の縋るような目…余りにもシビアな内容で、愕然。

 また、カスピアン王子とピーターの不仲や、ルーシィの言葉を信じない兄姉達、といった、人間の「生」な感情が出ている所も、綺麗事でなく面白い。
 悪役・ミラースは、戦闘力が強いキャラではなく、策謀を巡らし・裏切り・他者を追い詰め・危険な状態にある妻の身さえ見捨てて(まあ、彼女が殺されることはないと踏んでもいたろうが)逃げ出す、人間っぽいと言えば これほど人間っぽい者も居ないだろう男。
流血を避けてテルマール軍の武器を盗み出したナルニアを貶める(それと手を組むカスピアンをも恐怖の存在に祭り上げる)ため、「犠牲者があった」事にする偽装が、圧巻。
あの後、言葉を本当にすべく自軍の兵士を実際に殺して、見せたのだろうか?
 死を賭けた戦いを前に、配下の者達に「悪く思うなよ、私がもし、生き延びても」と言う自虐ギャグというか お茶目さが、ミラースを妙に憎めないキャラにしている。

 この悪辣なミラースを倒すためには、少年漫画的に「恩讐を越えて手を組む」展開もアリだったかなあ。
前作であんなに苦労したのに何だ!ではあろうけど、ナルニアが抱える戦力として最大級のモノであるのは間違いなかろうから。
 悪党といえど無慈悲に命を奪えない、殺して何かを手に入れる人間に堕ちたくない…男の子達の心意気は立派だが、乱戦の最中では敵一般兵を結構な数 斬り殺してるはずで。
汚い手を躊躇いなく使う者を自軍内に抱える度量もまた、指導者に必要だったかも(作品としては「それは間違い」と描いているが)。

 ただ、やはりこの作品の舞台は「ファンタジーの王国・ナルニア」であり、深刻さや精神の暗黒面より、明るく楽しく「夢」を信じる力こそが最強の力となる。
 だから、兄妹達の中で、重苦しい雰囲気に流されず、一人かつてのナルニアを忘れず、アスランを信じ続けたルーシィこそが逆転のカギとなっていく。
 逆転…といっても、「これまでの真面目な話は何だったんだぁぁ」と思わされる行き過ぎた戦いの決着には、ビックリ。
これが出来るなら、なんでナルニアは壊滅の危機に瀕したのか。
アスランはどうして多数の死者が出ているのを放って、姿を隠していたのか。
 よく分からない…神の御心は計り難し、かな?だけれど、「ファンタジーの勝利」が愉快だったのは確かだから、いいや。

 CGを多用した迫力ある合戦シーンや、拘りを感じる画面の美しさは、満足のいくレベル。
 このぐらい楽しませてくれるなら、三作目が公開された際は劇場まで足を運んでも良いなあ、と思わせる面白さだった。
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