オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

『フラクタル』02.「ネッサ」

 ふと『天空の城ラピュタ』の冒頭部分を見返してみる。
 民間飛行船に襲撃を掛ける、いかにも悪そうな空賊団。
手慣れた様子で腕の良さを伺わせ、客が持つ金目の物なんかには興味が無く、真っ直ぐに何かを目指している。
 謎の少女と、同室の男達。
少女の表情と食事を拒むところから、親子兄弟仲良しの旅行などでは有り得ない。
 空賊団を廊下で迎え撃つ男達。
油断したリーダーらしき男を、躊躇いつつ、しかし渾身の力で殴打し昏倒させる少女…芯の強さがあり、普段はそういうことをしない女の子だと分かる。
 この後、パズーが暮らす炭坑町の雰囲気や、彼が機械技師見習いらしい事が描かれ…
 メインキャラクターは冒頭数分間でほとんど顔を見せ、ごく簡単には設定も見て取れるようになっている。

 何より凄いのは、空賊団や男達が狙い、落下する少女の命を助け、少年と出会う切っ掛けとして、もう「飛行石」が登場していること。
 ムスカは飛行石に現れる栄光や力を追い求め、ドーラらは「お宝」という事で狙っていたものだが金品や人(パズー・シータ)の輝きでも十分かと考えるようになり、シータにとっては「呪い」ですらあって、パズーは最初から(欲望としては)興味がない。
飛行石を巡ってこの映画は動いていく、テーマと言っても良い最重要アイテムを、こんな最初からしっかり、しかも小型の石で文字通り「小出し」にして見せているこの巧さ。
 もしか「そんなに巧い?」とか「まあ別に当たり前の作り方じゃないの?」と思ったとしたら、それはこの映画が完璧に近い構成をしているから。
見る側に、作り手の苦労を感じ取らせる作品は、まだ改良の余地がある。
 シータは、飛行船搭載の小型飛行機で脱出しても良かったし、欲張れば最初からロボット兵を呼び出し その背に乗って飛んでも良く、『カリオストロの城』冒頭のように追跡者から逃げる地上カーチェイスで始めても良かった。
…が、どれも巧くは(現存するストーリーの流れに)嵌らない。

 作品構成の際、大きな物から小さな物まで無数に存在する選択のポイント・選択肢を、最も良いと思われるチョイスで埋め尽くすのが、傑作の条件。
ピクサー社の映画なんかでも、よくこれを感じる。
 しかしコレが、言うのは簡単、実現は至難で、智力・気力・体力を限界まで絞り尽くす苦難の作業の連続になる(自分なんかにも出来ない出来ない)。
 つい、「面倒臭い、どーでもイイや」「何だって変わらないだろ、客はそんな必死で見てくれる訳じゃなし」になり、極端には「有名作のパロディー・イタダキで換えちゃえ、意外と客は喜ぶし、労せずして『こんな感じ』のイメージを伝えられる」になりがち。
 そうなると、強力な著名作のパワーに、弱い自作が振り回される事態が起こり得て、構成を崩壊させてしまう危険性も。

 ……という事を、このアニメの第一話では感じてしまった。

 第二話に そういう傾向は無く、お話も、この回だけ見ればそんなに問題ない。
 不思議な力を持ち、迷惑だがコドモらしく可愛い女の子(ドッペル)と、主人公の関係を確立する話。
 ただ、前回メインで描かれたフリュネの存在感が驚くぐらい薄く、居ても居なくても良い…主人公が初めて出会う少女はネッサであった方がずっとスッキリする事から余計者にも感じさせてしまうのは、どうなんだろ。
 ネッサはフリュネのドッペル?という疑惑が持たれていたし、いずれこういう登場のさせ方をした理由は明らかになるのだろうが、それでも、二人も立て続けに女の子を出したことでは互いの存在感を薄くしただけであり、主人公が行動する動機付けを分散してしまうのも拙い。

 今作で描こうとしているのは、触れるものと触れないもの、リアルとバーチャルの差、それらを超えて意義や価値の有るものと無いもの、という所なのかな。
 現実の存在ではないネッサを、守る対象…一緒に居たい存在と感じ、連れ戻すべく走り出すクレイン、というのが今回のクライマックス。
そのシーンだけで彼の内面的葛藤は決着が付いている、とはいえ、救助対象のネッサが「自分で抜け出して」「何の屈託もなく」クレインの方へ走ってくるのでは、弱いような。
 ネッサへのアクションを起こす動機として、もっと巧妙に「何もして上げられなかったフリュネへの想い」を感じさせられると、流れも良くなったかなあ。

 家は分かっているし、簡単に捕まえられるシーンを先に見せていたクレインに対し、落とし穴を仕掛ける理由が不明。
前回に引き続き、三悪の女の子がとにかく子供っぽくて無駄な行動ばかり取りたがるから、か。
 ドッペルのネッサに触れる、というのをクレインが特別な事のように言っていたけど、網で捉えて持ち上げて運び去る事は普通に出来るのね。
床の上に立ち、階段も上れるし、「ドアを通り抜ける」ような物理現象を無視した行動は取れない仕掛けになってる?
それなら、「軍手を投げたらドッペルに当たる」?「その軍手を手にはめたらドッペルに触れる」?
まあこの辺は、フィクションだし細かい事言う必要なんて無いが。
スポンサーサイト

アニメ | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』03.「転校生はセカンド幼なじみ」 | HOME | 『みつどもえ 増量中!』02.「丸井家、もう一杯!」>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |