オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

映画『戦場でワルツを』

 WOWOWで放送された映画『戦場でワルツを』見る。
 イスラエルの手描きアニメ映画。
手描き、といっても、フツーのアニメとは雰囲気が違い、目・鼻・口や体のパーツパーツを分割して管理し、「動き」を表現している事が多いような。
FROGMAN等によるFLASHアニメの感触。

 内容は、レバノン内戦に関するもの。
 兵士として従軍しながら、ある時期の記憶を失っている事に気付いた主人公は、その補完を求め、同じ記憶を共有する戦友達を訪ね歩く。
 現実の戦闘状況を背景としているが、観客に知識があることを前提に作っており、映画内での説明は皆無に等しいため、かなり分かり辛い。
自分ぐらいの薄い知識しか持たない人間でも、サッパリ分からない、という事はなかったが。
 ただ…戦況に即して映画の訴えたいことを正しく受け取るには、それなりの素養が必要。
そうでないと、「戦争は良くないよね」ぐらいの表層的な理解しかできない可能性があるから。

 被験者が子供の頃の写真を十枚見せ、その中に一枚だけ「移動遊園地に居る被験者」を合成で作って入れておくと、他の本物の記憶に混ざって「ありもしない遊園地の思い出」を語り始める、という話が面白かったなあ。
 当然ではあるがヒーローなど存在しない物語で、淡々と戦い、淡々と死んだり生き残ったりする。
戦車上で突然の襲撃を受けた兵士が、一人生き残るも他の戦車隊には見捨てられ、敵の最中で死を覚悟するが相手は「全滅させた」と油断して探しもせず、夜まで待って闇に紛れて海へと入り長距離泳いで逃げ出す下りは、格好良さも悲惨な敗走の危機感も無く、だからリアルな緊張感に満ちており見入ってしまう。

 虐殺や死体を映し出すシーンなど、実写で描いては悲惨に過ぎる可能性がある所も、抽象化された「絵」である事により、観客は余計な情報に気を散らさず、テーマへと向かうポイントだけ受け取る事が出来る。
 また、リアルタイムの現実ではなく「回想」なので、デフォルメ・省略が無理なく行えるアニメーションを用いて語る手法も、大きく意味があったろうか。
…ラストで実写映像が挟み込まれる、その生々しさに対比すると、余計そう感じる。
 淡々と終わってしまうし、「観客に考え込ませようとしている」内容でもないと思え、見終わった印象はガツンと強いものではないが、独特の画面タッチと相まって忘れられず、後からジワジワ効いてくる映画。
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