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映画『SUPER 8/スーパーエイト』

 映画『SUPER 8/スーパーエイト』を見る。
 監督は『M:i:III』『スター・トレック(2009)』のJ・J・エイブラムス。
 スピルバーグ作品にオマージュを捧げた作品、という事で、スピルバーグ自身もなかなか実現できなくなっている映画の楽しさを味あわせてくれる作品に仕上がっているのでは、と期待しつつの鑑賞。

 …そういう期待からは、外れた映画。
 確かにスピルバーグ作品でお馴染みのお膳立てや見覚えのあるようなシーンが並べられるけど、それはそれだけの事。
懐かしかったりはしつつも、「だから面白い」という境地まで繋げられている部分が少なすぎ。

 以下、なるべくボカすけれど、どうしても内容に触れてしまうので、未見の方は御注意。


 「謎」っぽく勿体ぶられる異質の存在に、魅力が薄い。
『クローバーフィールド』は、それも狙いだろうから構わなかったが、全体像を余りハッキリと見せず、フォルムとして捉え辛い姿に気持ちを入れて見るのは難しい。
 行動として、「不思議なボクらの友達」でも「倒すべき恐ろしい敵」でもない描き方が、中途半端に感じられて、うーん。
例えば、町の人を数人殺した後で主人公に出会ったETを…悪辣な人類からの被害者的側面を持った『宇宙戦争』エイリアンを、客はどう思えば良いのか。
 問題提起する作品じゃなかろうに、ここいらはもう少しエンターテイメントとして割り切って欲しかった。

 詰め込みすぎて、消化不良になっている箇所も多い。
 父親世代の対立は物語に余り関係なく、仕事人間なので息子と一対一ではどう接して良いのか分からない主人公父、にまとめて良かったかと。
 タイトルにもなっている、主人公達が偶然撮ったフィルム、その内容確認は遅すぎて無意味になってしまい、事件の進展・解決に結びつかない。
 物語を動機付ける重要な役割だろうに、アッサリしすぎている極悪人の始末。
彼らを最後に片付けることで贖罪・停戦の証にしないと、対立構造が上手く解消できない。
これじゃ『アバター』で悪役の「顔」になっている元大佐が、物語半ばで死んでしまうような据わりの悪さ…その後は誰をどうすれば終わる戦いなのか分からなくなってしまう。
 謎キューブを主人公が持ち帰る事に意味がほとんど無いのも惜しい。
あれを最重要パーツに設定して、謎存在・軍人達両方が主人公を追いかける、辺りが収まりの良いパターンなのに。
 不満点は数多く。

 逆に、良かった所は、とにかく子供らしくバカな男の子達。
デブ(モテない自覚が泣かせる)と爆破マニアチビのキャラクターは素晴らしい。
もうちょっと熱い友情も描けたかと思うけど…まあこれぐらいがリアルか。
 ダメダメな映画撮影の風景。
「凄いモノを撮ってやる・撮っているんだ」という過剰な自負と完成品のギャップ、でも楽しげ(本人達は苦悩している?)な様子から、そういう時代が自分にもあったなあ、と懐かしい気分に。
 だから、『スタンド・バイ・ミー』映画撮影版みたいにして、SFやアクション要素を抜き、もっと家族との葛藤や幼い恋、まだ子供である自分達ではどうしようもない現実の重さを、映画を通して昇華したり受け止められるようになったり、といった物語でも良かったような。

 ゾンビメイクを施されて尚キュートなヒロインには、男の子を命懸けで行動させるだけの価値がある。
 頑張る男の子は、理屈抜きで応援したい気持ちにさせる輝きを放つ。
 心を縛り続ける母親の死と決別するシーンでは、(上手くそこに集約できた物語ではない、とはいえ)ホロリ。
「自分の大切な・楽しかった思い出」を、「辛い事しかなかった滞在」の記憶に加え、持って行って欲しい、という意味が?
上手く伏線にするには、実はキューブが変形して作られていたもので、あれ無しでは全体が機能を果たせない…としても。
それなら共鳴・吸着設定を使う事で謎存在と主人公の出会いも早くできるし…

 この映画はあくまで「男の子が女の子を好きになり、少しだけ成長する」お話であって、SFやアクションはオマケ。
オマケ以上の物を期待すると、ちょっと驚くぐらいの肩すかしを食らってしまう。
 かといって『スタンド・バイ・ミー』と受け取るには「オマケ」に時間を取られすぎていて少年達の彫り込みが足りず、どうにも中途半端。

 『M:i:III』『スター・トレック(2009)』もそうだった…相変わらずエイブラムス作品は、引き付けられる良い所を持ちつつ、全体が荒い。
 駄作と切って捨てられないけれど、傑作とは言い難い、「ジュブナイルとしての佳作」が妥当かな。
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