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映画『ダークナイト ライジング』

 映画『ダークナイト ライジング』を見る。
『バットマン ビギンズ』からの三部作、完結編。

 クリストファー・ノーラン監督は、「現実」の切り取り方が独特。
『インセプション』なんか、昨日見た夢みたいな理不尽内容だけど、この「現実」感覚で観客には不思議とリアルに感じさせてしまう。
 バットマンだのジョーカーだの現実離れしたキャラクターが跳梁跋扈する有り得ないゴッサムシティーを、だから他の監督達は、「嘘を混ぜても違和感がないぐらい嘘に満ちた世界」として描いてある。
 しかしノーラン監督は、キャラそれぞれにちょっと理屈っぽすぎるぐらい裏を付け、「それなら無いでもないか」と思わせる方法で来る。
いや実際はそれでも「無い」んだけど、あるかも、と感じさせるのが腕。

 何でもアリのデタラメではないが、リアルに押される訳でもない、ハッタリの効いたアクション演出は今回も健在。
飛行機内で、カーチェイスで、見応えのあるシーンを展開してくれる。
 アン・ハサウェイが可愛く美しくて嬉しい。
キャットウーマンのイメージではあろうが、『キャッツアイ』を連想。
恐るべきスタイルの良さと、無骨なバイクを乗り回す華麗さに魅了される。
 しかし、「見るからに良い子」なので、敵か味方か…というハラハラには欠けるかな。

 後は、何を書いてもネタバレになってしまう。
面白かったり興味深かったりする部分は、大半がラストに直結する要素なので。
 一応改行して…



 このへんから。

 今回、街を壊滅の危機に陥れる融合炉。
別に悪党がロシアから手に入れた核爆弾とか、そういう設定でも良かろうに、急にそんなモノ作ってしかも厄介なことになる話の運びはどうだろ?と思ったけど…
 これは、バットマンだ、ということなのね。
 街のためであり、「闇を払うもの」として作り出されたはずなのに、それ自体の存在が最悪の危険をもたらす。
 今回は、悪党に利用される武器類も、大きなモノはバットマン…ウェインの会社が所有していた。
彼が居なければ、強力な武装を整えていなければ、ここまでの事態にならなかったかも知れない。

 今回の悪役は、恐怖のカリスマで悪党達を統率し、バットマンを打ち破るパワーや計画性を持ちながら、影が薄い。
ベインなど、まさかと思われる形で退場してしまうし(絶対に再登場すると思ったが…)。
 彼らがこの映画で担っている役割は、「恐るべき強敵」というより、「バットマンの存在にタイムリミットを設けること」。
 バットマンは、自分自身の存在により、常軌を逸した悪が街に流れ込んで来ることを知る(前作…一作目から理解していたか)。
それでも、義務感、いや復讐心?悪を許すことが出来ない「常軌の逸し方」により、前作で登場したモノマネ・バットマン達を一切認めず、一人戦い続けてきた。
 そんな彼が、誰でもバットマンになれると語り、自身こそ危険なのだと悟り、己に重なる融合炉と共に消え去ることを選ぶ悲劇が、今作の骨格。

 ラストシーンは…現実か、幻か。
アルフレッドの叫びが胸に迫るせいもあり、現実であって欲しい。
 ゴッサムシティーに悪が絶えることはあるまいし、「バットマン」の戦いも終わらないだろうけれど、それはもう、ブルース・ウェインの戦いではない。
「戦いと縁を切って愛する者と穏やかに暮らす」ことこそ、彼にとって厳しい、過酷な毎日になるのかも知れないが。

 実は疑問点が多々あるし、不満なところもあるが、バットマンそしてブルース・ウェインの死と再生を描くテーマ性の高い作品として、深く満足。
 ここまでハッピーに感じられるエンディングが、『バットマン』という作品に有り得るとは思わなかった。

 根強く人気があるシリーズなので、再度仕切り直して始めるんじゃなかろうか。
 今度は、『ブレイブ & ボールド』のように割合真っ直ぐで元気なバットマン像にするか…
老齢のブルース・ウェインが若い新世代バットマンにアドバイスを与える『ザ・フューチャー』形式なら、この映画と何となく繋がりそう。
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