オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

『宇宙戦艦ヤマト2199』最終第七章「そして艦は行く」

 第一章を除き、劇場で鑑賞。
 自分はオリジナル『ヤマト』に大きく人生を変えられた年代の人間で、だから思い入れが強く、「聖典を安易に変えること、まかりならん」などとウルサイことを言い出しがち。
 それでも、最後まで飽きさせず呆れさせず興味を持って見続けさせられ、いい加減だった設定の辻褄合わせや、搭乗員(特に女性)の増加、「ヤマトの謎」 「ガミラス内部闘争」など現代的な味付けは成功している部分が多く、しっかり考えられた新しい戦闘シーンの迫力や面白さには感心させられさえしたのだから、大したもの。
 高いレベルで推移した作画は嬉しい(だから一部の崩れが目立ってしまっているが)。
 オリジナルに忠実な音楽、新しく作られたガミラス国歌も素晴らしい。
 誉められる部分は数多く。

 でも、感心しない所も。
 旧作で主題に据えられた「沖田と古代の父子関係」が、ほぼ無くなっている。
艦橋勤務時以外の個人的な交わりとか、記憶にないぐらい。
 古代は、旧作での「感情的で未完成だが強い意志を持ち、劇中で大きく成長する」キャラクターではなく、「感情的に安定しており士官に相応しい能力を最初から発揮、(初めての?)恋愛に動揺する」男性になっている。
 何かに反発したり、激情に任せた行動を取る古代の強い個性は、主に新キャラクター達へと分配されており、ために彼の影は薄くなってしまった。
 ガミラス決戦で見せる雪への気持ちの爆発が大きな見せ場になるはずだったろうが…結果として役に立っておらず、残念。
 新作は群像劇であり、個人というより乗員全員の関係性、更には「ヤマト」という艦そのものが大きく変化し、成長する物語、なんだと思うけど、つい古代を「主人公」と捉えてしまう身としては不満。

 さしたる原因も無いよう見えるのに、女性キャラにモテる古代。
数人の女性キャラから好意を寄せられる部分にこそ、今風「主人公」としての才覚がある、のかな。
 萌え作品には、伝統的な有り様を示す「親」不在のことが多い。
 『ヤマト』現代風リニューアルは、その辺にも及んでいるのか。

 この後は、特にラスト近くの内容に触れてしまうので御注意。





 ガミラス内部の権力闘争や将校の関係、非情なだけでなく権力者としての才覚を見せるデスラーなど、敵側事情は面白かったんだけど…
 結局、細かい事など血迷ったデスラーの暴挙で全部吹き飛んでしまい、ガッカリ。
ガミラスに犠牲を出す事と、イスカンダルとの関係と、どう繋げるつもりだったのか。
 デスラーの動機…スターシャとの約束?彼女が好きだった?
描写の不足もあり、独裁者としてはいかにも弱い。

 イスカンダル、スターシャ。
 デスラーとの約束を大事に覚えている様子を見せながら、しかし守と関係を結んだ?
 イスカンダルまで辿り着いたヤマトに対し、波動エンジンを兵器に転用した事などからコスモリバースシステムの譲渡を渋ったり、印象が宜しくない。
「じゃあどうすれば良かったんだ」としか思えないし。
 自分達が使用した決戦兵器を他種族が持つ事に否定的、というのは、核兵器保有に対するアメリカ的な?
 旧作のスターシャは地球人に希望を与える「女神」のようだったが、今作では「女」であって超越存在などではない捉え方。

 突然ヤマトに拾われるミーゼラ、急に彼女を(古代を、ならともかく)庇い死亡する雪、ヤマトに光線兵器以外の武装があるのを聞いていなかったのか逆襲され爆散するデスラー、地球でなく一個人を救うため勝手に発動する守コスモリバースシステム、限定範囲使用だし「試射」扱いで凌ぐのかと思えば律儀に使用で きなくなるシステム、説明はないけど死んだばかりの沖田を取り込んで再使用可能に…
 色々、台無しにしているような。
 沖田の死に、「ああ、コレを充填すればまたコスモリバースシステムが使えそう」という余計な意味を持たせないで欲しかったなあ。
「地球か…何もかも皆懐かしい」にも、彼自身がそうなる事を知っていたかは分からないが、自分システムにより「懐かしい地球に何もかも皆戻す」意味が含まれてしまう。

 特にラスト四話について、不満点が多く、残念。
 詰め込まれた様々な要素をわずか四話で結実させられるのか不安だったけど、やっぱり相当な無理が出てしまった印象。
 もう少し話数を増やし、個々の事情について彫り込んで描けば「なるほど、そういう事か」と納得でき、面白さに繋げられたかも知れないのだが。
旧作で哀れな最期を遂げたヒスが、倒れたヒルデを助ける、なんて、ちょっとした所だけど凄く嬉しいシーンだったのに。

 でも、それでも。
 「次」があるなら、またこのスタッフで。
 文句も言いながら、とても楽しませて頂きました。
面白い『ヤマト』を、ありがとうございました。
スポンサーサイト

アニメ | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『サーバント×サービス』09.「ありますか 心のゆとりと 積み重ね」 | HOME | 映画『トータル・リコール』(2012)>>

この記事のコメント

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |