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『クロムクロ』最終26話.「侍は振り返らず」

 「俺たちの、私たちの戦いはこれからだ!」エンドに、もしかして半年の休止期間をおき、後半26話が放送されるのでは、と思ったけど、終わりっぽい。
 とはいっても、既に最初から引いてきた様々な要素にはきっちり決着が付いており、これ以上やるのは「必然」というより「延ばすことも出来る」感じになりかねないな。
 最終決戦、恐ろしい数の敵が降下し、多勢に無勢、研究所側勢力は制圧され、仲間は死んだり耳から入れられた小型メカ(イヤだなあ)で洗脳されたりの絶望的状況。
 ここからの逆転は死闘に次ぐ死闘、洗脳メカの操作電波に侵入して所員を解放する、同時に敵母艦へのハッキング(アリガチ)とか何とか、ギリギリのせめぎ合いがあるものかと……意外に苦労少なく。
いや、クロムクロらによる戦いは迫力と切迫感があったし、不満だとか肩すかしだと文句言うつもりじゃないんだけど、とにかく、もっと辛い展開になると思ったので意外(洗脳所員の廃人化はシビアだったが)。

 シリーズ通し、「パターンだとこうなる」への裏切りが多いストーリーだった。
 最初から行方不明の由希奈父。
雪姫がムエッタとして敵側で登場、しかも敵将は顔が見えないマスク着用、もう誰しも「敵に洗脳された父親と悲劇の対決」を予想したと思うが、違う。
 その正体であったゼルの星の人間。
仮面を取るとゼル側宇宙人、ということでは、「これまで語られたゼルの話は全部ウソ、実は彼らこそエフィドルグで、失策で追放された?母星に帰るため由希奈達を利用しただけ」とかいう真相が語られるのかと。
地球人側、それを疑いもしなかったなあ……侵略された惑星の人間が尖兵として使われることは既知であり、そんなに頭が悪くないのか。
 由希奈もまた雪姫から作られたクローン、というのを考えたけどハズレ。
 これら、意表を突くつもりで皆が多用するためありふれてしまったパターンを、あえて外しているため、逆に意外で気持ち良かった。

 ちょっと語り口を間違えただけで「訳が分からない」にもなりかねないストーリー・設定だったと思うけど、細かく気を配って非常に上手く処理してあり、ほぼ混乱なく見られた。
ともすると、「別に難しい話じゃないでしょ」と思わされてしまうぐらい。
 戦国時代からきたギャップを持つ剣之介、雪姫でなくエフィドルグでもなく自分という存在への疑問しかなかろうムエッタ……描き方が難しいキャラ達。
必要なところを描き、略できるところはかなり大きく略することで、理解を視聴者に委ねつつ、物語中では不自然なく存在させられていた。
記憶は偽造されたものでも一部はゼル星の現実をベースに作られており全く架空ではない、ということを喜ぶムエッタなんて、とても余人に理解できる境地ではない……だけど「何か分かる」気持ちにさせるのが巧さ。
 クラスメート・茅原は、脇役ながら変わった男。
事態を全て他人事のように捉えていて、他者の生死は勿論、自分の命でさえも特に大事には考えていない。
ネットの動画を眺めるように現実に相対しているのか……カメラさえ構えていればどんな危地にも向かえるレポーター気質?でもスキャンダル狙いならまだしも報道としては「生命、わからない、生命とは何か」みたいな考え方してちゃ勤まらないような。
他者を研究対象としか見ない父親に似たのかなあ。
 その父親・ハウゼン。
劇中随一のイヤな男だったけど、息子にはベタベタ(元妻にも未だベタ惚れ)、悪人と言うには良いところも併せ持つ、複雑な人間。
 自衛隊員でありながらソフィーの執事をしているセバスチャンも、複雑。
「同一機体に乗り込むパイロット同士であり、相手は年端もいかない少女なのだから、可能なら身辺警護もせよ」ぐらいの自衛隊上部命令から、個人的好みで執事を気取ったモノか。

 地球人は、物語中で被害者だけれど、剣之介・雪姫らにとっては加害者にもなりかけた。
地球の安全が当座確保でき、他惑星の危機には(また地球に攻め込まれる切っ掛けにもなりかねず)関与しない姿勢は正しいのかどうか、しかし、エフィドルグ対抗勢力へ加勢するため宇宙へ出ようとする程には無関心でない。
 由希奈と剣之介、地球人とムエッタ・ゼル、キャラクター達はそれぞれの立ち位置を持ち、安易に妥協せず、それでも分かり合い関係を結ぶことは出来る……かも知れない(最後まで洗脳が解けないヨルバの姿も示される)。
 結局、エフィドルグの実体は描かれなかった。
洗脳したり複製した侵略先星人を使う悪辣さ、効率的行動は『謎の円盤UFO』を思い出す。
もしかしたら、エフィドルグの始祖生命体は絶滅していて、「全宇宙を支配したい」意思だけが機械に残り、任務を遂行しているのかも。
 エンディングから先は、対エフィドルグ惑星規模戦争が始まっていくのかな。
とても勝てるとは思えないが、『トップをねらえ』的に、追い詰められた人類の凶悪作戦で勝利を収める……あるいは「エフィドルグ(の一部)とも共存する余地はあった」ラスト?

 宇宙母艦内での歩き方によって、重力制御区画へゆっくり移っていくことを感じさせるカットなど、丁寧な演出が印象に残る作品だった。
そのうち、最初から全部見直してみたい。
 ロボットアニメ、久々の快作。
面白かった!
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この記事のコメント

とにかく、もっと辛い展開になると思ったので意外(洗脳所員の廃人化はシビアだったが)。
黒部研究所の職員とか結構人殺しのシーンはあったんですが、
なんか終わってみると大きなカタルシスもなく
(良い意味で)全編あっさりしてた様な気がします
セバスチャンの生存は予想できましたが
「ヘルメットがなければ即死でした」位は
言ってほしかった(笑)
逆に予想できなかったのが父親の事故死ですね
時計や手帳など小物でにおわせていたのでてっきり
ダース・ベイダーパターンかと思ってました

>エンディングから先は、対エフィドルグ惑星規模戦争が始まっていくのかな。
この後がとても気になります
由希奈とムエッタ両手に花でどっちがタンデムシートに
座るかでもめ・・・コホン
銀河大戦が気になりますね
劇場版とは言いませんがOVAで出してくれないかな
2016-10-02 Sun 14:12 | URL | nas #-[ 編集]
半年間もこれに付き合った自分を褒めてやりたい。

始まる前はもっとロボアクションが見れる物だと思ってたんだがなぁ。
結局はエフィドルグの正体は解らず仕舞い。
当初からのザル警備は最後まで変わらず。
もうネタとしか思えない程。
ってか幾らゼルから全データを受諾したからって、あの母艦を5年足らずで使える様になる地球の技術は凄いw

しかし、2クールもあったんだから、前半は地球編で後半はゼルの母星編とか幾らでも出来たろうに。
日常をだらだらと描いていて、もう少し尺を詰めればもっと良くなったろう。
2016-10-03 Mon 21:13 | URL | u12 #-[ 編集]

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