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『幼女戦記』最終12話.「勝利の使い方」

 こういうタイプの作品として基本であろう「異世界への転生に戸惑い苦労する主人公」「現代日本の常識から、戦いを忌避してしまい危機に陥る」という所が、ほぼ無い。
放り込まれた戦時下の環境、そこは魔法が存在している異世界で、しかも自分は赤ん坊女児に変えられている……これだけで大混乱しそうなものだけど、「この状況ではどうするのが最も有効な生き方か」模索し決断する冷静さが恐ろしい。
 彼は元、社員にリストラを告げる『マイレージ、マイライフ』ジョージ・クルーニーのような役職に就いていた訳だけど、その職責を果たす原動力は「相手への無情さ」だけでなく(そういう冷たさもあったろうが)、「現在の場所で不必要とされたなら、無意味な抵抗はせず、新しい環境で必要とされ最も都合良く生きられるよう、直ちに人生を構築し直すのが有効」という自身の超合理的な考え方からだったのかな。
そんな風に出来る人間は少ない…だから、恨みを買って現実世界から抹消されてしまう。
 神…存在Xにより、現実からリストラされた?

 せっかく可愛い?少女に生まれ変わったのだから、金持ちの男でも騙し、家財産など乗っ取って暮らすのが一番楽なような。
「男を相手にする」のは、さすがに抵抗があったのか。
また、戦時下であり、接触も不可能なぐらい身分違いの大財閥に取り入るならともかく、少々の金や地位など敗戦の前には余り意味が無いかも。
 主人公・ターニャ、人を殺すのに全く迷いがなく、恐ろしい。
かといって殺人が大好き、という訳でもないよう見える。
「自分が死なずに作戦行動を終える」のは重要ポイントだろうが、自分は逃げ回り部下だけ危機に晒すことで全体の効率を酷く落とすぐらいなら、リスクを冒すことも躊躇わない、って感じ?
他者を殺傷するについて、「自軍の効率化のため障害となる敵兵をリストラしている」つもりなのかも。

 神・存在X、主人公に過酷な運命を課すにあたり、理由に「信仰心の欠如」を挙げるのはどうだろ。
だいたいお前、どの神様なんだー!信仰心といっても対象が怪しげな新興宗教で良いのか?
まあ、(人間が定義する宗教の)神というのは、こうして自身への絶対的崇拝を要求する、理不尽で心の狭い存在であることが多いけども。
 表面だけ神様と折り合っちゃえば良いのに(神にそんなインチキが通用するかはともかく)、あくまで認めないターニャの強さに感嘆。
「要領が悪い」とも言えるか。
それは現世でのリストラ業務だって、対象社員への伝え方によっては殺される程の憎しみを受けないで済んだはずだから、あんまり器用に生きられないんだろうな。

 アニメで残念だったのは、ターニャが「幼さの残る美少女」として描かれていないところ。
邪悪な顔ばかりしているせいもあり、背の低い成人女性に見えてしまう。
外見は可愛いのに……というギャップが作品のキモじゃないんだろうか、いや、そこを除いても十分すぎるぐらい面白い作品だったけれど。
 作画は最後まで高品質。
 タイトル「幼女戦記」から受ける軟派なイメージとは真逆の、凄い物を見せてくれた作品。
 ここからは、敗戦に向かう悲惨な話になっていくのか、異世界の物語だしターニャの奮戦や未来予測により歴史を覆すことが出来るのか。
 アニメ第二期を期待したい。
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