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『true tears』最終13話.「君の涙を」

 見ながら、わーっと色々な考えが頭をよぎり、まとまらない。
 いい話だったしシンドイ話だったし、嬉しくもあり悲しくもあり…
三角関係は、興味を引きつつ展開していく最中は作る側もアレコレと波乱を入れて楽しく工夫できるが、まとめ上げる段にこそ構成能力と暖かさと非情さが必要とされ、取りこぼした者へのフォローも必要だけれど、やりすぎると「都合のいい話」になってしまうのでバランスの取り方が酷く難しく、大変だなあとか、とにかく色々雑多な考え。

 眞一郎の選択が、比呂美の方であって良かった。
それは、個人的嗜好として「幼馴染み属性」というようなモノがあるから、でもあるけど、こういう作品のパターンとして、妥当なラインへの帰着を避け、「奇矯なキャラ」を選ぶ傾向があるように思われたから。
 しっかりした女性には、「君なら、ボクが居なくても大丈夫」と言いやすい。
フラフラした危なげな女性に「支え」として入る方が、ドラマティックであり、据わりも良い。

 この作品で、比呂美が しっかりしていると言えるかどうかは、分からないけど。
固く閉ざした心の内側が見えてくるにつれ、弱さ・脆さ・可愛らしさが顕わになっていたので。
 部屋に呼んだ眞一郎のマグカップを、彼の手ごと引き寄せて中のコーヒーを飲んで見せ、「間接キス」を演出し、精一杯の親愛と無防備と許容と欲求と、子供な眞一郎にはとても扱いきれない「女」の面を晒す比呂美に、ゾクゾク。
こういう細かな芝居の付け方が、実に上手い作品だった。
 独立して生きることを決意するのは、まだ強いからかなあ、とも思うけど、乃絵も兄と別居になる選択を(望んだ訳ではないが取り乱す事もなく従容と)受け入れ、一人 生きることになったという意味では、変わらない。

 そういえば、この作品は「二組の、普通ではない兄妹の話」だったと言えなくもない。
眞一郎と比呂美は、結局 兄妹ではなかったが。
 愛情が介在していながら、血が繋がっているというだけで(『だけ』と言ってしまうのが職業病)、気持ちが成就する事のない純と乃絵…乃絵には「親愛の情」以上のものは無かったようだけど。
 眞一郎・比呂美が兄妹であった場合、二人は互いを諦め、乃絵兄妹と入れ替えて二組のカップルを作り、乃絵以外はそれぞれに心の傷を引き摺りながらも、上手くいったのだろうか。

 しっかりと歩き、去っていく乃絵の背中に向かい、「眞一郎とアブラムシ」の歌を歌いながらグズグズに泣き崩れる眞一郎。
この余りにも格好悪い姿が、一方の少女を選ぶための代償となっていく。
 「俺、全部ちゃんとするから」という格好良い、都合の良い言葉通りに終わらせず、みっともなく崩れる姿を晒させる事がスタッフの…眞一郎自身にとっても「誠意」となり、後味の悪い身勝手な話から作品を引き上げる。

 最後の最後に自分の涙を取り戻し、風に乗せ、祖母が昇った空に向かって散らしていく乃絵。
「私…涙、あげちゃったから」で始まった作品を閉じるのに、こうなるのは必然であり、考え得る限り最も腑に落ちる終わり方で(喜びの涙…も有り得たろうが)、ただ感心。
 こういうギャルゲー(原作ゲームとは全然違うみたいだけど)へのアプローチもあるんだ、と驚かせてくれる、特異な、情熱を持って作られた面白い作品だった。
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