オタクのゴタク/飛龍 乱ブログ

『とらドラ!』23.「進むべき道」

 クラスで二人だけ、進路希望を出せない竜児と大河。
それぞれの理由、竜児は、「母親のため、これ以上苦労を掛けたくないから」進学を断念しようとし、大河は「お金持ちで働く必要がなく やりたい事もないから」。
 ゆり先生による、「これから先の人生、自分は自分が決めたように生きていく他はないの。誰のせいにも出来ないし、誰も責任を取れない。だからもっとちゃんと考えて欲しいの」といった お説教が、染みる。
これが後半、二人を追い詰める回りの行動動機に繋がっていく構成。

 竜児に向けた ゆりの言葉「お母さんに反抗したこと無いでしょ?」には、ハッとさせられてしまう。
 母親の細腕一つで養われている負い目と、母親の世話をしなければならないという義務感(自分こそ保護者だとする錯覚?)が、彼の自由を奪ってしまっているのか。
…それは、一般的には「良い子だ」といった言葉で表現される心の有り様だと思うけれど。
 内心を押し隠して陽気すぎるほど陽気に振る舞う母親と、同じタイプを三人娘の中から探すとしたら、実乃梨だろう。
実乃梨がシングルマザーになり、年月を重ねたら、そのまま竜児母になりそう。
 竜児が実乃梨を好きになったのは、贖罪とか義務感とか、そこまで行かなくても、母親と似た「無理」を敏感に感じ取って力になろうとした、って所があるのかも。

 熱を出して寝込む竜児母。
それでも、辛いとかシンドイとか言わない強さが美しい。
惚れるなあ。
 大人になる事が「弱味を他者に見せないで過ごす強さを身に付ける事」だとすると、この作品中で彼女は唯一の大人。

 頼りにならない自分を責めて、歯を食いしばったコワい顔から、表情が歪んで泣き顔になる瞬間の竜児を見事に描き出す作画が、素晴らしい。
 不器用で言葉としては「大丈夫」としか伝えられないが、竜児の手を握りしめる小さな掌の力強さと暖かさ、そして目に一杯溜めた涙が、大河の気持ちを雄弁に物語る。
 器用で、精神的成熟度の高い亜美の、分かりやすい気持ちの伝え方は可愛い。
でも、それは高校生ぐらいには、しかも鈍い竜児に伝わり辛い「お子様相手には高度すぎる」モノで、かといって子供レベルに自分を引き下げられない亜美が可哀想で可哀想で。
芸能界のような大人社会(だろう)の方が、きっと彼女には生きやすいと思う。
今、必要としていたものは、そこで得られなかったようだけど。

 チョコレートを渡す ほのぼのシチュエイションから、一気に大河を追い詰める緊迫した状況へと変化。
「真犯人を告発する推理劇クライマックス」のようだ。
 大河を囲む四人の心情が、よく描かれていて、とにかく圧倒される。
実乃梨と亜美のケンカ回もそうだったけど、この作品では、気持ちがぶつかり合う瞬間を演出するのに、「客観的には面白いけど実際あの場には居たくない」と思わせるぐらい、リアルな空気を醸し出すなあ。

 大河に迫る実乃梨だが、こうして追い詰められる対象は実乃梨自身であっても、また亜美であっても不思議無かったはず。
 実乃梨は、ちょっとズルい。
自分は全てをさらけ出す勇気を示していないのに、親友に それを求める所が。
「大河を思っての事」だろうが、大河自身も同様に実乃梨を思っていたのだし、それを分からない訳でもあるまいに…
 まあ、こういうのは、先にキレた方の勝ちだったりするから。
 次回、この行動に出るに到った実乃梨の心境が語られるのかな。
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